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マッドストーンのbackpackerのレビュー・感想・評価

マッドストーン(1974年製作の映画)
3.0
オーストラリア版『ハートブルー』

ーーー【あらすじ】ーーー
政治家狙撃事件を目撃したのは、暴走族"墓掘り軍団"のジャンキーチンピラ!
目撃者が墓掘り軍団の誰かまでは特定できない暗殺者達は、墓掘り軍団丸ごと始末することに!
バイク好き警官のストーンは、警察を嫌う墓掘り軍団の一員となることで、墓掘り軍団構成員連続殺人事件の解決に乗り出す。
かくして、ストーンと墓掘り軍団の奇妙な物語は幕を開けたのであった!
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1979年、とある映画の大ヒットに世界は沸き、日本もまた一大ムーブメントに揺れました。
その映画の名は……『マッドマックス』。
"低予算終末世界SF"のハウツー本の如き存在となった『マッドマックス』は、後の世に多大な影響を与えるSF映画の金字塔となります。

はてさて、そんな大ブームともなると、便乗する作品が後を立たないのですが、何を隠そう本作もその一つとして売り出されました(隠せてないか)。
しかし、実は本作は、『マッドマックス』に先駆けること5年、1974年にオーストラリアにて公開されていた作品で、『マッドマックス』の原型と言われている作品なのです!(日本公開時に邦題で"マッド"をくっつけて、パチモノっぽく売り出されてしまいました。そうでもしないと公開すらされなかった可能性が高いですが。)
しかも、本作の主要キャストの多くが『マッドマックス』に出演しているうえに、当時のオーストラリアの社会問題となっていた暴走族に代表されるバイクカルチャーにスポットを当てた映画としても先駆けていたりと、本作が『マッドマックス』の原型と言われる由縁は随所にあるのです。


内容は上述の通りで、簡単に言えば、警官がアウトローの仲間に入り友情を深め最後には決別する……というお話です。
ストーンが徐々に墓掘り軍団の悪共を好きになっていくのは、既視感もあって大いに予見してしまう、要するに、『ハートブルー』的展開です。
というか、『ハートブルー』が『マッドストーン』に似てると言うべきですよね。
一種哲学的で一本芯の通った主張を持つ墓掘り軍団のボスと、彼と墓掘り軍団のメンバーに惹かれていく警官。実にそっくりな構図です。
違うのは、本作の主人公ストーンが、最後まで警官としての筋を通し、頑然と対応する道を選んだことでしょうか。それでいて、墓掘り軍団が好きだと言う気持ちに嘘偽りはなく、最後にその身に降りかかる結末も受け入れてしまっているとこですかね。


因みに本作のBlu-ray『マッドストーン墓掘りエディション』では、ドキュメンタリー映画『マッドストーンよ永遠に』が特典として収録されている豪華仕様!
キングレコードの『死ぬまでにこれは見ろ!』企画にも毎回名前が上がっておりますので、気になった方はポチってみてはいかがでしょうか?


「連中にはある
おれの好きな仁義が
連中は敢然とやる
並の人間ができない事を
そうだ
おれは”墓堀り軍団”が好きだ
連中にはよろこんで会いたい」
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