このレビューはネタバレを含みます
1953年公開作品。終戦から8年「もはや戦後ではない」と言われる少し前だろうか?
東京下町(の中でもさらに貧しい地域)に、当たり前に見られた人々の暮らし。
上原謙と田中絹代演じる夫婦は、妻が再婚で子どもはまだ居ない。妻は競輪場でアルバイトをしている。
2階の二部屋を、独身の男女にそれぞれ朝食付で貸している。薄い襖をつっかえ棒で戸締まりしているだけのオープンさ。
1階も2階も隣も、プライバシーもへちまもない生活。でも、皆こんなふうだったのだろう。
妻の前夫が赤ん坊を押し付けることから、物語は一気に展開していくのだが…。
上原謙演じる夫が、無責任で優しくなくてイヤな男だ。
この作品でも、高峰秀子が素晴らしい。