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煙突の見える場所のすずすのネタバレレビュー・内容・結末

煙突の見える場所(1953年製作の映画)
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このレビューはネタバレを含みます

戦後の復興期に有名になった、見る場所により1本、2本にも…4本にも見える煙突の町(小津安二郎の初トーキー『一人息子』にも印象的に登場)を舞台に描かれる、男女4人のアンサンブル・ドラマ。
しかし、宗教家のお隣了さん含め、下町長屋モノ風にもなっている。

煙突の町は昭和の日本映画に於いて、半地下の街と同じ貧しさの象徴になっています。本作も、その風景を活かし、歴史に名を残した一本です。山手と下町からは『天国と地獄』が生まれています。

以下は物語。

宗教家の大宅から借家している夫婦と、その二階に間借りしている若い男女が主人公。
一階の夫婦は空襲で夫を亡くした未亡人の初婚の頼り甲斐のない男。妻が夫に内緒でアルバイトをしていだのがバレ、夫婦仲がギクシャクする時、妻の元夫が存命で赤子を夫婦の家に置き去りに居なくなる。泣き声に生活を乱す夫婦、2階の下宿人たちに隣近所。

赤ん坊が病気になった事で、四人は情が湧き始めた時、2階の役人が元夫を居場所を見つけ出す。元夫のその妻は生活が不安定で、赤ん坊の引き取りを一旦は拒否。しかし、妻が再度、赤ん坊を取り戻しにやって来て…

とても良い視点(タイトル)だったのに、主人公の視点もブレがちで、主題がまとまっておらず、今一歩で傑作になり切れなかった印象。

そんな中で光るのは、育児ストレスで自暴自棄の自殺にまで至る田中絹代の演技と、日本1のダメンズ森雅之はさすが!主役の筈の芥川比呂志と高峰秀子が食われっ放しです。

『映画監督って何だ!』で題材として使われているのでも有名。
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