まりぃくりすてぃ

煙突の見える場所のまりぃくりすてぃのレビュー・感想・評価

煙突の見える場所(1953年製作の映画)
4.0
タイ焼き。みかん。りんご。パン+変なジャム。……食べ物がことごとくマズそうに見えた 笑。

“大人たちの泥沼”への洗浄剤感(光明感)を女優として元々持つ高峰秀子さん。役柄上それを共有せんとする芥川比呂志さん。若い二人が控えめに弾けてる。
夫婦役の方はどうだろ。白塗りっぽい無表情がどうしても悪役的である上原謙さんと、老け妻っぽい痛々しさが痛し痒しである田中絹代さん。
「どうにも解決不能」感が映画を覆って、入水のところから面白くなりそうになる。「え、解決してくの?」……そううまくはいかない。つづいて脇役の関千恵子さんと花井蘭子さんが俄然、見せ場をつくろうとする。が、鮮やかになりきらない。
…………雨降って地がどの程度固まったのかわかんないけど、まあこんなもんでいいでしょう。



ところで、北千住研究家の私としては、若い二人のじゃんけんシーンを、せっかくなら昔ながらの北千住式にやってもよかったんじゃん?と呟いておこう。
◇普通のじゃんけんは・・・ 「じゃんけんぽん」→「あいこでしょ」→「あいこでしょ」→「あいこでしょ」→「あいこでしょ」→「あいこでしょ」(以下延々)
◇北千住式じゃんけんは・・・ 「じゃんけんぽい」→「あいこでしょ」→「つけろくさい」→「さいのめのさい」→「さいさいさい」→「じゃんけんぽい」(それでも決着つかない場合、いったん休憩する)

北千住研究家の私なので、せっかくだからほかも記す。
◆北千住では「もんじゃ焼き」を「ぼった」と呼ぶことが多い。「もんじゃ」と言っても通じない場合さえある。
◆北千住ではオモチャ自販機「ガチャガチャ」を「ジャリジャリ」と呼ぶことがある。
◆北千住の人間は北&南千住をほぼ全世界だと感じていて、荒川以北には(だるまを買いに行く時を除いて)関心がない。同区意識もない。都会方面へ冒険するのは好きで、日曜の家族レジャー先は上野動物園が定番。
◆北千住の子供たちは地域の老人たちから「おばけ煙突」という言葉をちょこちょこ聞いて育つため、5、6歳になるまでは、何が何だかわからずに今でも町のどこかにおばけ煙突があるような気がしている。そのくせおばけ煙突とは何ぞやがわかってないから、おばけのように喋って踊る煙突だと勘違いしてる。
◆北千住の老人たちは、かつて千住っ子の自慢だったおばけ煙突をしっかり映像記録してくれたこの映画に心から感謝してる。内容が面白かったかどうかはほとんど話題に上らない。
以上。