ChinaHiranuma

煙突の見える場所のChinaHiranumaのレビュー・感想・評価

煙突の見える場所(1953年製作の映画)
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人間を人物として描き切らない潔さに感動。身に起こることや他人は理不尽で奔放で怠惰で面倒くさい、かといって愛情がないわけでも優しくないわけでもない。のはお互い様、何事もジャンケンであっさり気持ちよく白黒はっきりという風にもいきゃしない。布団で会話しながらクチャっと笑う田中絹代にドキ、お化け煙突見て奇妙な顔して家へ駆け帰るカットが美しく、愛しているはずの妻が入水自殺しにいくのを目の前にしながらどう止めたらいいか分からないと抜かし立ちすくむ上原謙が最高に好きだったけど(実際にあれされたら百年の恋もさめるけど)なあんかその感じ身に覚えあるよなあ、高峰秀子の同僚関千恵子へのあの感じ(あれこそ好きも本当嫌いも本当って感じ)も知ってるな、ってそんなのばっかりで平凡な人間様がしっかり描かれているんだなあと思ったり。暗い話だけどさっぱりとしててコミカルにも描かれてるのも含めて好きだしこういう作品こそ側に置いといて定期的に観返したい。空が広いのが綺麗、きれい。
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