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ARIA The BENEDIZIONEのTrainのレビュー・感想・評価

ARIA The BENEDIZIONE(2021年製作の映画)
4.7
【 私の"泣き虫セレナーデ"へ 愛を込めて】

『ARIA The AVVENIRE』『ARIA The COREPUSCOLO』に続くTVシリーズのその後を描いた蒼のカーテンコールの完結編。シリーズに登場する水先案内会社の一つ、姫屋の当番回である。 

姫屋のエピソードは持たざる者の物語。姫屋に所属する藍華ちゃんと先輩の晃さんは人の何倍も頑張る努力家のウンディーネであり、皆を引っ張るしっかり者。しかし二人の周りは天賦の才に恵まれた人達だらけ。操舵術、舟謳、社交性...プリマ(一人前)昇格に求められるものは多くどれを取っても難しい。周りに置いていかれるのではないかという日々襲いかかるプレッシャー、ふとした瞬間に分からなくなる自身の存在意義。自分にも当てはまる共通項が数多くあるのか、姫屋の回が特に印象深く見る度感情移入してしまうのだが案の定今回も凄かった。

前作同様に先輩・後輩の関係に焦点を当てた作品になっていたが、 ARIAカンパニーやオレンジぷらねっとの話と違ってより師弟関係が色濃く反映されていた。元気ハツラツでワイワイ騒いでる二人を見てるだけでも楽しいが、TVシリーズでも原作でも描かれなかったエモさ極まる師弟話はキャラクター的にも私個人的としても、この先、生きていく為の希望にやはり満ち溢れており、今日よりも輝かしいはずの明日を生きようとする全ての人を祝福したい気持ちになった。こんな「恥ずかしい」駄文を書きたくなるのもARIAの影響が強すぎるからである。これからは禁止よ!、禁止!

他にも感じたことがあるはずだがエンディングテーマの『ウンディーネ』で吹き飛んでしまったので見直したら書き加えることにしたい。

にしても藍華ちゃん役の斎藤千和さんが原作者の天野こずえ先生に仕事についてのお悩み相談を持ち掛けなければ伝説の四つ葉のクローバー
回は生まれなかったわけで、その四つ葉のクローバーの回が生まれなかったら今回の映画もないだよね。ARIAって作品は奇跡そのものなんだな。ARIAらしさを体現するこの裏話を知った時はちょっと感動してしまった。

自分の中で何かが欠けてしまった時にARIAで登場した名言をよく振り返るようにしているが一番思い出すのがその四つ葉のクローバーの回の言葉。

「ないものは付け足せばいいんだよ!」
「私に努力を秀でた才能を持てばいい。そう、秀才になればいいんだなって」

前後関係を説明してないのでこれだけ読んでも何が起こってるいるかよく分かっていただけないだろう。取り敢えず3期 The ORIGINATION『第5話 そのおもいでのクローバーは…』だけでも見ていただきたい。この言葉で何度救われたことか。Amazon Prime Videoで配信中なんで是非!

今年からの追っかけなのでスクリーンでこのシリーズを見るのは今回が初なのだがオープニングが流れ始めた瞬間に自分がネオ・ヴェネツィアにいるのを肌で感じた。願わくばあの空間にいつまでもいたかった。たった1時間。その1時間で自分の世界が大きく一変した気がする。これを劇場で鑑賞できたのが誇りに思える。原作は丁度20年前、アニメ開始は16年前。それくらい前からのオールドファンは勿論だとは思うが今年出遭った自分としても今回の最終章は特別な思い出となった。本当にARIAに出逢えて良かった。天野こずえ先生、佐藤順一監督、キャストとその他のスタッフの皆さん。本当にありがとうございました!この思い出は一生の宝物です!
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