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JOINTのKUBOのレビュー・感想・評価

JOINT(2020年製作の映画)
5.0
【『JOINT』舞台挨拶で主演の山本一賢に花束を贈らせていただきました! 映画『JOINT』も「山本一賢」もよろしくお願いします!】

今年のインディーズにはすごい作品が多いが、これは極め付け! とてもインディーズとは思えないクオリティの脚本、演技、そして編集! ちょっと圧倒された。

まず扱っているテーマに、特殊詐欺用の「名簿売買」「ベンチャービジネス」「ルーターを使ったウィルス」など、現代社会の新たな犯罪やキーワードを扱いながら、

「暴対法以降の経済ヤクザ」「武闘派ヤクザの逆襲」そして「外国人犯罪組織」と、複雑な勢力図の中でヤクザ映画としての緊張感も半端ない作品になっている。

出所間もない石神(山本一賢)は、ヤクザとは一線を引いてカタギとして生きていこうとするが、かつての弟分の世話をするうちに名簿ビジネスに手を出して、ズルズルと闇の世界に関わっていく。

この経済ヤクザ的な詐欺商売など、本来悪質な犯罪なのだが、本作がリアルなのは、そこに手を染める石神も、協力する韓国人たちも、その金で不法滞在の同胞を助けたり、犯罪者であっても弱者がお互いに助け合う構図になっている点。誰も極悪人はいない。

また、暴力団が暴対法以降、合法的なビジネスの皮をかぶっていく中での半グレの台頭、くすぶる武闘派の不満や、裏に広がる外国人犯罪組織などなど、知的なレベルでも、バイオレンスのレベルでも、複雑に絡み合う脚本が素晴らしい。

主演の山本一賢は、優しい眼差しの向こうに肝の座った演技も素晴らしく、新人とは思えない。

上映終了後、舞台挨拶に立った小島央大監督は、こんなヤクザ映画を撮るようにはとても思えないお兄さん。最近のインディーズの監督さん、『ベイビーわるきゅーれ』の阪元監督にしても、『偽神』の小川監督にしても、作品とイメージ違う人ばっかりw

ただ、このトークで聞いてびっくりしたのが、監督が渡す脚本は大筋だけで、実際には撮りながら俳優さんたちといっしょに台詞を決めていったという方法。そんなやり方でできたナマモノのフィルムを編集で繋いであそこまで無駄のない緊張感にあふれた作品に仕上げるなんて、この小島監督、こちらも初監督なんだけど、只者でないよ。

更に個人的なことを言っちゃうと、主演の山本一賢、実は私の教え子でした! 見るまで全然気づかなかったんだけど、同姓同名だしもしかしてと思って出身校を尋ねてみて、「やっぱり山本くんか!」となり、20年ぶりの再会を喜び合いました! あんまりうれしくてコロナ禍なのにハグして喜びあっちゃいました。

あ、でも教え子の主演作だからって作品を褒めているわけじゃありませんよ。作品も素晴らしい、演技も素晴らしいんです。

でも作品に星4つ、応援の気持ちで星1つプラスかなw

11月20日よりユーロスペースで公開です。絶対おもしろいから、みなさん、よろしくお願いします!
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