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JOINTのsymaxのレビュー・感想・評価

JOINT(2020年製作の映画)
3.7
懲役2年の刑期を終えた石神武司…暴力団等の組織に属さず、"名簿屋"として詐欺の片棒を担ぎ荒稼ぎしてきた、所謂…"半グレ"…

東京に戻った石神は、過去のスキルを最大限に活用し、再び名簿屋としてのビジネスを成功させていく。

カタギの親友ヤスからの誘いもあり、ベンチャービジネスの投資を始め、カタギへ転身を図るも石神の過去がそれを許さなかった…

その頃、指定暴力団大島組は、多数の武闘派を破門にし、ビジネスを合法化しようと企むが、破門となった跳ね返りが反旗を翻す…組の内輪揉めに巻き込まれた石神は…

偉大なる"半端者"がもがく物語…そんな印象を受けました。

今現在の日本の裏社会をドキュメンタリーのようにリアルに描いていて、非常に面白いです。

出演者が殆ど知らない方ばかりですし、セリフ回しや、声の強弱、微妙に被せてくる会話等妙にリアル感があるのですが、大筋の脚本はありながらも、これ即興じゃないかと感じます。

会話の間が独特で、その会話の間が作品全体に独特の色を持たせ、世界観を持っています。

…私好きです、この感じ…

但し、主役の石神武司という人間は嫌いです。
カタギにもヤクザにもなれず、中途半端な半グレというズルい生き方を選んだ男…組織に縛られないので、カタギとヤクザの間を自由に行き来し、オイシイところだけかっさらうという、最もゴミみたいな存在です。

ただ、その自由さが、カタギ・ヤクザそして外国人の犯罪組織まで、"JOINT"するのが石神本人であるという皮肉…非常に良く出来た構成だと思います。

石神を演じた山本一賢という俳優さんは、本作がデビューという事だそうですが、素晴らしい演技で魅せてくれました。

ちょっと舌足らずな甘い感じの話し方をしていたかと思えば、一瞬で狂犬のような危うさを見せる…嫌なヤツなのに、いつの間にか同情というか、その魅力に吸い込まれてしまう…半グレがカッコいいと認めさせてしまいそうで…凄いし一種危ない俳優さんで、今後ブレイクしていきそうな予感がします。

在日ブローカー役もいい感じでしたし、後輩の広野を演じてた俳優さんも憎たらしい舐めた感じが本物っぽいのですが、先程も書いたとおり、出ている方皆さん知らないので…リアルに感じますし、これまでのヤクザ映画に比べて、斜め上を行く視点を持ち合わせた意欲作だと思います。
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