眠人

JOINTの眠人のネタバレレビュー・内容・結末

JOINT(2020年製作の映画)
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このレビューはネタバレを含みます

抗争シーンや肉体労働のシーンがあるけれど全く汗臭ささがなく、温度の低いヤクザ映画。暗く透き通った冷徹な映像がとても美しかった。知っている役者は1人もいなかったけれど、それでも引き込まれた。ドキュメンタリーチックな演技臭さのない会話にもリアリティを感じられた。

主人公の石神武司(山本一賢)は特殊詐欺用の名簿(個人情報)販売を生業とする。暴力団には所属していないが、裏社会に数々のコネクションを持っている。刑務所から出所後、友人の説得もあり、ITベンチャー企業へ出資して裏稼業から足を洗おうとするが、巨大組織の抗争に巻き込まれてしまうことになる。

暴力団、半グレ、外国出身者のマフィア、地面師等、利害関係者の思惑が入り乱れ、協力・対立していく様がとてもスリリングだった。

JOINTという英単語には結合部、関節といった意味がある。
表社会と裏社会、カタギとヤクザ、金融ヤクザと武闘派ヤクザ、日本出身者と外国出身者、新世代と旧世代、様々な対立軸の結合部として石神(山本一賢)という人間が配置されていたように思う。石神(山本一賢) がITベンチャー企業のコンサルとして一見デキるサラリーマンのような身なりになるけれど、この男短気で、怒った時にはヤクザ顔負けの身ぶり口ぶりにになってしまったりと、裏社会の人間から抜けきれない様子が醸し出されていたのも見所の一つだと思う。
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