ハシジュン

ガザ・サーフ・クラブのハシジュンのレビュー・感想・評価

ガザ・サーフ・クラブ(2016年製作の映画)
4.0
この映画が2014年製作であることを意識して観ると、なんとも言えない気持ちになりました。

当時でも既にほぼ破壊つくされたようなガザの街で、人々が普通に生活していて、それを異常に感じていない、あるいは諦観し、麻痺してしまっているのだろうことが恐ろしく思います。

そしてその麻痺感覚は、ガザやイスラエルだけのものではなく、世界中の、日本に住む僕らの感覚もそうなっているのだということが、より恐ろしく思います。

この映画は“天井のない牢獄”であるガザでサーフィンをする若者達を描いているのですが、そのガザで主人公達以上に行動を制限されてのは女性達です。

映画の中ではサーフィンしたり、踊ったり、バーベキューをしたりするのは全て男性。

例外的にサーフィンをする少女が出てきますが、ガザの社会から彼女は異物として扱われます。

映画後半、ハワイの場面が出てきます。
ハワイでは開放的な水着を着て海水浴を楽しみ、日焼けを楽しむ女性達が映し出されます。

そしてハワイとガザの風景が交互に写されて行き、ガザにてスカーフを纏い自由に泳ぐことも出来ない女性の悲しさが際立ちます。
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