シーケー

うみべの女の子のシーケーのネタバレレビュー・内容・結末

うみべの女の子(2021年製作の映画)
3.6

このレビューはネタバレを含みます

青春映画として性と田舎と男女どちらともの痛々しさを描いている点で稀有な作品だと思う。原作は一回だけ読んだくらいの思い入れだけれど、とても再現度が高く感じた。ただ磯部の見た目が良すぎるのであと2段階くらいはキモくするべきだと思う。
タイトルにもあるように海沿いがたくさん出てきて、水辺映画としてもなかなか珍しいものだったと思う。
大洗でロケしたらしい砂浜はちゃんと汚い感じがあって、イケてない田舎の舞台をしっかり作ってくれる。海水浴客がそれほど来ずSDカードを落としたら探すのが大変そうな設定通り。場面によってはややきれいな砂浜も大きめの石の海岸もある。構造物としても座りやすい堤防や消波ブロックだけでなく漁師小屋みたいな建物の影に隠れる場面もありなんとなくリアリティがある。海の明るくない表情を見せてくれるのもいいところで、兄の影がおそろしい夜の海、堤防に台風のような激しい雨が打ちつける様子は物語の重要な要素になっていたと思う。
残念なのは、ラストに近い2人が最後に話すシーン。三浦でロケしたらしい漁港を舞台にしていて、それも二人の関係が変わってしまった感じを表していて良いのだけれど、音楽がスローモーションで感動を誘うタイプの邦画によくある感じの音楽で、ここが泣くところ的な意図が余計に感じられてしまう。単に漁港の音で十分だったと思う。