きっちゃん

先生、私の隣に座っていただけませんか?のきっちゃんのネタバレレビュー・内容・結末

5.0

このレビューはネタバレを含みます

不倫された漫画家の佐和子が、自身の漫画の題材にすることで夫に復讐しようとする話。
不倫の当てつけに漫画を描くという脚本の発想が面白くて、確かに想像力豊かな漫画家さんだからこそあり得る展開だと思いました。
途中までは佐和子目線だったので、俊夫が焦る様子を見ながら応援していましたが、後半は、これは漫画の中のフィクションなのか、現実なのか分からなくなって、俊夫と同じ目線に切り替わってる演出が凄く面白かったです。
最初から最後まで結末が気になって、楽しめました。
ラストの終わり方も個人的にはスッキリする形で良かった。
作中での奈緒さん演じる不倫相手のキャラなら、あのままお花畑な感情で終わるのはアリだと思って。
編集長に話したということで映画で語られないその後があるだろうし、なんとなく視聴者に委ねる終わり方なのが良かったです。
佐和子の不倫されたことよりそれを隠されたことへの行き場のない怒り、悲しみの感情もお芝居で読み取れて、そういう面でも心が動かされました。
表に態度を出さない生き方をしてきた女性だと思うけれど、夫が不倫を認めてから我慢していた感情が溢れ出て涙するシーンは観ていて辛くなりました。
黒木華さんの心が動いているお芝居に、私も心が動きました。
感情が動かないから漫画を描かないって言って俊夫の感情を揺さぶりまくって、漫画を描かせてあげる伏線も面白かったです。
俳優部の方、それぞれの役作りがとても良くてこの脚本に対してのバランスが合っていて本当に面白かったです。
奈緒さんの、自分の立場がピンチにも関わらず、目を輝かせて楽しんでいる演技に思わず笑ってしまいました。
クレイジーな役をどれだけ面白くするか、役への色付けが凄いと思います。
結末が分かっていても、また観たいなと思う映画でした。
きっちゃん

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