このレビューはネタバレを含みます
一言でいうと
インド版「ニュー・シネマ・パラダイス」
よくある歌って踊って、は主に作中映画作品の中で、
王道を行くインド映画ではないけれど
いろいろな場面の倫理観が
とてもインドらしいなと思った作品
いくら映画好きでも盗みはいけないよな・・・と
思いつつ
光を通して映し出されるフィルム映像に魅了される
サマイと友達とのひとときに共感
サマイのお母さんの料理がとても美味しそう
チャイ売りでこんな食事はできないよな~と
思いつつ、丁寧な料理作りはこの映画の作り方と
共通するものがあるなぁとか
ラストで父親がサマイにまとまったお金渡すのも
チャイ売りでこんな・・・と思ったけれど
これらは監督はあえてやってるんだろうな・・・
ロマンよねロマン、とか
オクラが大嫌いと言うサマイ
大好物と言うファザルはオクラが西洋では
「貴婦人の指」に例えられているという
これってサマイ=監督のインドの上流階級嫌いの
暗喩ではないかとか
あっ、この音楽、キューブリックの「2001年宇宙の旅」で
使われていたツァラトゥストラはかく語りきじゃないの
後半、タルコフスキー作品へのオマージュの
ような場面が
映画に詳しい人なら最後に挙げられていた監督名から
もっと、これもあれもと気が付くのでしょうね
基本的にマイナーメジャーが好きらしい監督
この作品もそういう嗜好がビンビン感じられる
特に好きな場面はラストの方
お役御免で処分された映画フィルムが女性用の腕輪に
作り変えられて、装飾品となる場面(驚いた)、
映画フィルムを身にまとう女たち、
ここにもロマンと現実が。
サマイが友達ひとりひとりと、異なるサヨナラを
する場面と、余談のない、きっぱりと終わる
ラストシーン
あぁ、感傷的になりすぎずに綺麗にまとめたなぁ
好みは人によって分かれるかもしれないけど
「映画はウソだ
ウソをつくのが上手くなくっちゃな」、とか
おいおいってな場面もありましたが
一粒で何倍も美味しい、
いろいろな見方で楽しめる作品でした