おざわさん

エンドロールのつづきのおざわさんのレビュー・感想・評価

エンドロールのつづき(2021年製作の映画)
4.0
ほぼ前情報なく鑑賞しましたが、バン・ナリン監督自身が子供時代に体験した映画との出会いと、その光の世界に惹き込まれていった思い出をそのまま映像にした様なストーリーでした。

そういう意味ではインド版『ニューシネマパラダイス』風ながら、内容的には『フェイブルマンズ』に近い気がしました。

初めて入った映画館でスクリーンに投射されるキラキラした光の渦に魅了され、知り合った映写技師を手伝い出した中でフィルムの継ぎ方を覚え、数々の作品を見る事で脚本の組み立てを感じていった少年サマイ。

でも彼の中にあるのはやはり織りなすように紡がれる光であり、その向こうに現れる幻のような世界。

自分のようにはなって欲しくない父親、愛する息子を信じてやまない母親、そして幼な馴染みたちとの思い出も描きつつ、9才という幼い歳に独り立ちした寂しさやワクワクまでもが、映像から感じられました。

ラストシーンに流れる先人たちの名は、もしかしたら監督自身の声なんでしょうか?
そして監督の映画人生そのものが『エンドロールのつづき』であるように思えます。

特に印象に残っているのは、映画のことと同じくらい細かく描かれた、画面から伝わるくらいに母の思いの籠もった手料理の鮮やかな色や香りよ!

お腹空いてまうやろ〜〜〜😆