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エンドロールのつづきのpepeのレビュー・感想・評価

エンドロールのつづき(2021年製作の映画)
4.0
光の美しさの切り取り方がとにかく巧い映画だと思いました。
映写機から漏れる光、スクリーンに映る映像の明るさ。それらの魅了されてやまない光が、少年を導いていくような物語のようでした。

光は、きらきらと眩く、儚さもあり、虜になる。それは少年の心を惹く映画をあらわしたものでもあり、さらに終盤に思いもよらない出来事を経て、鮮やかに色づきもする。その映画にまつわる光のさまざまと、インドの広大な自然、母の愛情の込められた手料理、すべての美しさを心に蓄えて、少年は旅立っていく。

そうした少年の成長を描いた物語ながら、ないようで厳然とあるような身分制度やしきたり、「英語ができるか/できないか」で仕事の範囲が狭められてしまうインドの社会をもあわせて描き、古い映写機の行く末と重ねることで、甘くはない現実をも写し取っている映画でもありました。

だからこそ、少年が夢をいつかつかみとってくれることを願いたくなる映画でした。希望が叶えられる社会が未来にあることを、苦い思いを抱えつつも送り出した父とともに祈りたいと、そう思いました。
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