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クレッシェンド 音楽の架け橋のcookieのネタバレレビュー・内容・結末

3.7

このレビューはネタバレを含みます

パレスチナとイスラエルから集めた若き音楽家たちでオーケストラを編成し、和平コンサート開催を目指す日々を描く社会派映画。

自宅で一心不乱にバイオリンの練習をしているレイラ🎻
窓の外は紛争の真っ只中💣🔥
その温度差にまずびっくりするのだが、
突然レイラがキッチンで玉ねぎを切り、その切り口を鼻にあてて涙ぐむ😢
後でわかったのだが、部屋に入り込んだ催涙ガスの痛みを和らげていたのだった。

才能を評価され、外国で学ぶことを勧められるオマル。
(「コーダ あいのうた」のルビーのよう!🤩)

なのに、未来のある若者があんな選択をするなんて!
希望の光だった二人が...😢
何て短絡的なのかとがっかりしてしまうけれど、親に殺されるかもしれないくらいの絶望感を滲ませていて、本当の幸せを求める唯一の道を選んだのだと思うと、パレスチナ問題の想像以上の根深さを感じずにはいられない。

マエストロの生い立ちが語られるシーン。もうひとつの悲しみの歴史が、楽団への思いに繋がっていた。

代々語り継がれてきた怨念が今なお根強くアイデンティティーとして刻まれている限り、その思いは部外者には理解しようとしても到底及ばないということを本作でも思い知らされ、やるせない気持ちになる。

希望を抱かせなくもないような、微妙なラスト。余計にリアル。

イスラエル・テルアビブ生まれのドロール・ザハヴィ監督が脚本も手掛けている🎬
音楽用語「クレシェンド」と、音楽で生まれた小さな共感がやがて大きく響き渡るという意味が、タイトルに込められているという。
試写会で興味深かったのは、曲が進むにつれ演奏者が徐々に加わり音が大きくなっていく「ボレロ」をラストにもってくることに意味を持たせたという監督の話が紹介されたこと。

実在する ウェスト=イースタン・ディヴァン管弦楽団 に着想を得た作品。
14分間の「ボレロ」を聴くと、協和への思いが重なり、新たな感動が湧き上がってきた。オーケストラで聴きたい曲のひとつになった🎶
https://youtu.be/s_pSJOkmYBA
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