ボギーパパ

テーラー 人生の仕立て屋のボギーパパのレビュー・感想・評価

テーラー 人生の仕立て屋(2020年製作の映画)
3.3
劇場2021-61 HT渋谷

ギリシャ🇬🇷ドイツ🇩🇪ベルギー🇧🇪作品。

年に数本こういった作品にあたると心が穏やかになる。ありがたい作品でした。

ギリシャで36年スーツ仕立てを、父の教えのもと生業としていた主人公が、不況と父の病で行き詰まり、新規ビジネスに乗り出すのを美しい映像、着こなし、熟練の技巧、仄かなそして熱い愛情で表現する話。

主人公であるニコスの、最初はMrビーンかと思う佇まいも、彼の美しいスーツの着こなしに魅了される。また、裁ち鋏で布地を切る鮮やかな技を見せるシーンは感情、場面の転換点に用いられているようで心地よかった。屋台を作ったり、戸惑いながらも新規ビジネスとなるドレス作りに乗り出したりするのもニコスの器用さがなす技。とても美しい。

そしてとても複雑な感情表現も本作の醍醐味。ある意味息が詰まった。

『シェフ 三つ星フードトラック始めました』みたいな映画と誤解していましたけれど兎にも角にも美しい映画でした。
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