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テーラー 人生の仕立て屋のtakehiのネタバレレビュー・内容・結末

テーラー 人生の仕立て屋(2020年製作の映画)
3.5

このレビューはネタバレを含みます

「ニコスだけが歩み始めたわけでないかも?!」
おじさんの映画日記 テーラー人生の仕立て屋編 

主役のニコスは仕事柄、服の糸くずに敏感で見つけると、どうしても抜きたくなってしまう、飴玉も大好き、未成熟な子供っぽいキャラクターで登場します。
お父さんと紳士服の仕立て屋をやっていますが経営困難になってしまい、このままではお店を手放す危機に直面します。
人は生きていればどこかしら、ほつれて飛び出す糸クズのようなものがあるもんですよね、、なかなか本人は気づかなかったりかも、、

借金返済のためニコスは紳士服ではなく初めてウエディングドレスの仕立てを受けることになりました。
ニコスはお隣の人妻さんの協力を得てドレスを完璧に仕立てることができました、お嫁さんとお母さんは大喜び!めでたし×2、、では終わらないのが、このクセ強めなドラマなのです。
ニコスと人妻さんが一線を超えて不倫の関係になってしまいます。
しっかし事後の人妻さんの本当に幸せそうな表情にドキッ!っとしました。
そして儚い夢のように幸せの時間はすぐに醒めることになりその悲しみに居た堪れなくなりました。

予告編を見たイメージだと、不器用な男のサクセスお仕事コメディ映画と思ってしまいますが、、確かにそのような話しだけど、その癖の強い神経質な音効と音楽の雰囲気そして、ほろ苦く生々しい大人な物語展開もあり、そこにはいわゆる娯楽映画的なカタルシスも少なめ、兎にも角にもニコスは変化、時代を受け入れ、新しい仕事を見つけ、恋も経て自立した大人の人生を歩み始めてドラマは終わります。。

このレビューを書いていてその終わり方にモヤモヤしたので、ネタバレの情報サイトを見て改めて筋の確認をしてしまいました。

子供はニコスをママに取られたと感じると同時にママをニコスに奪われて孤独になりヘソを曲げました。(つまりニコスとママが好きという事)やっぱりパパは好きでなく無視したり、新しい上着が欲しいってせがんだり、、
子供から何を考えているの?との問い掛けに『あなたの事』と答える人妻さん、、、(この人妻さん賢いよね、何か芯をついてくる)
子供の事を本気で考えればニコスと仲良く仕立ての仕事しながら暮らしている方が子供にも良いかも、人妻さんもニコルと出会ったことで楽しく充実した生活の歓びを素直に受け入れ、新しい未来に賭けることを決心したのではないか、、そう考えるとめちゃくちゃ腑に落ちました。
ラストシーンのニコスの運転でドレスのベールをはためかせながら疾走するオシャレ自動車の道先には(2人が力を合わせば!)無限の可能性の未来が広がっているように思えてきました。
この映画は賞を取ったりしている評価の高い作品です。
もしかしたら吹き替え版で見た方がグッと来る気がしてきました、いつか吹き替え版を見ることができたら再評価したいと思いました

21.09.14タイトルを「奥さんを家政婦のように扱う旦那が悪いの?』から変更
そして文章一部変更。
2021/9/15 0:31
封切り当時yahoo映画に投稿
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