躊躇無く犯罪に染まるスペインの貧困から産まれる土壌や闇の中、持ち前の度胸と気質や才能で悪党社会をのし上がる野心家な若者を描くノワールドラマ。
説明的ではないものの、長めの演出な展開はスター俳優多めな ひと昔前の邦画的でもあり正直ダルさを感じるが、ひょっとしたら本国ではこういうタイプもスタンダードとして受け入れられているのだろうか?と考えたりもする。
(つまりスペイン映画は詳しくないもので事情やカラーが分からない)
ゆえにソコはあえて触れずに言うなら…
屋台骨は【スカーフェイス】等に似た感じの"史実から着想を得た"成り上がりの物語なのだが、さすがにあそこまで熱量も高くなければ騒然な感じでもない。
(史実を"元に"ではない)
とはいえ主要キャラが多い大河ドラマ級な作りでもないのでキャラクター造形は出来ているし「…誰だっけ!?」となる事もない。
かなり乱暴な仕事っぷりなのはそういう時代なのか現在でも横行しているのか分からんが、作品内におけるエンタメ的演出には一応なっている。
有りがちな映画と言ってしまえばソレまでだが、意外に"ヒューマンドラマ"としては悪くなかった。
ただ《史実に"着想を得た" = かなりフィクション》である。
ならばもう少しヒューマンドラマなりのヤマ場は欲しい。
コレだと結構なトントン拍子に見えてしまう。
ソレと…
オチは個人的に大嫌いだ。
密に繋がるキャラクターである あの女性をダイレクトにあんな展開させておきながら、主人公のラスト"だけ"を超短時間のあんな表現で〆てしまうやり方は個人的に好きではない。
ソレ相応の決着を見せないというのは果たしてどうなのか?と思ってしまう。
タイトル宜しく高みを目指して終わるとか頂点で終わる話ではない。
転落までを描いている話だ。
これでは彼に対する"因果応報"感が弱過ぎる。
『ぶっちゃけ胸糞悪い。』
決してコレ系全ての作品が「そうあるべき」と言っているワケではない。
だが、この映画の場合は主人公の終焉をもっとしっかり描いて欲しいと思った。
最後で一気に嫌いになってしまった。
もしソコがある程度 納得出来ていたら、点数は3以上付けたと思う。