CANACO

スナッチのCANACOのネタバレレビュー・内容・結末

スナッチ(2000年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

ガイ・リッチー監督・脚本による2作目。1998年公開『ロック、ストック&トゥー・スモーキング・バレルズ』にハマった人の期待に大きく応えた、スタイリッシュな犯罪コメディ映画。
映像がクールなだけでなく、なかなか笑える。そして死ぬべき人(殺人をする人)が死ぬ。複雑な話にもかかわらず辻褄がほぼ合ってる良作だった。

ただ、オープニングの格好良さに心奪われていると、本作の登場人物、この物語の大前提となる「86カラットの大粒ダイヤ強奪事件」の話を中途半端に理解した状態で進む。外国人の顔と名前を覚えるのが苦手な人は、登場人数が多くて、展開もスピーディなので、フォローが大変だと思う。

以下、重要な序盤〜中盤までのあらすじメモ。

■ 86カラットの大粒ダイヤ強奪事件
ベルギーにある宝石商に、フランキー率いる計4人のギャングがラビ(ユダヤ教指導者)に扮して侵入。86カラットの上物ダイヤ1つと小粒のダイヤ多数を強奪して立ち去る。
フランキーはNYマフィアのボス・アビーに電話をかける。黒幕はこのアビー。フランキーはロンドンで、(アビーが欲しがらない)小粒のダイヤをさばいてからNYに戻ると言う。アビーはフランキーに、ロンドンにいるアビーの従兄弟でヤミ宝石商をしているダグにそれを売れと指示する。

□強奪メンバー1人の裏切り計画
ともに大粒ダイヤを奪った仲間の一人が、ベルギー・アントワープから、ロンドンにいる銃商人のロシア人・ボリスに電話をかける。自分たちの身元が割れないよう、別の人間を使って、フランキーから大粒ダイヤを奪い、山分けすることを提案する。
(この計画のため、彼はダイヤ強奪直後に、フランキーに「ロンドンにいい銃商人がいる」と電話番号を渡しておいた)
さらに「フランキーは賭博好き」と弱点をボリスに伝える。

□フランキーが釣られる
フランキーはまんまとボリスに連絡をとり、銃を購入。
その際にボリスは、銃のお代はいらないから、借金がある自分の代わりにロンドンで行われる裏ボクシング賭博に賭けてほしいと依頼する。どちらが勝つかの情報も知っているからと吹き込み、フランキーはすっかりその気になる。

△ターキッシュとトミーの仲間が負傷
ロンドン在住のターキッシュとトミーはつかず離れず(と言いながらかなり仲良し)の仲間。ターキッシュは裏ボクシングの選手斡旋、トミーはその稼ぎとスロットマシン店で生計を立てている。

⚪︎トミー、ボリスから銃を購入
トミーは温和な性格だが、裏ボクシング賭博を仕切っているギャングのボス・ブリックトップが非情な性格なため、自衛のために慣れない銃を購入した。このとき連絡を取ったのがボリスで、トミーは3kgもある重たい銃を勧められ、買ってしまう。

△ジョージの代わりにパイキー出場
ターキッシュとトミーは、ジョージという大男を次回の裏ボクシング試合(賭博)に出場させるつもりだった。だが、全く関係ない出来事によりジョージが試合2日前に大怪我を負ってしまう。
ジョージが負傷した理由は、ターキッシュがトミーに「パイキー(浮浪者)からトレーナーを値切って買ってこい」と依頼したこと。トミーはパイキーらが住むキャンプに出向き、結果、交渉上手なうえ訛りが酷いパイキー集団に丸め込まれ、ポンコツトレーナーをつかまされる。
発進後1秒でタイヤが取れたため、トミーはパイキー集団のボスであるミッキーに金を返せと言うが、「だったらボクシングで俺に勝ってみろ」と挑発。ジョージを連れていたトミーは自信満々で受けてたつが、これが計算違い。ジョージはミッキーに一発TKOをくらい、本番に出られなくなった。

△ブリックトップと交渉
ターキッシュはジョージの穴埋めとしてそのミッキーを試合に出そうと思いつき、トミーを連れてブリックトップの元に行く。
ブリックトップは獰猛な犬を何匹も飼い、用済みになった人間を部下や犬を使って殺しては、養豚場の豚に死体処理をさせている冷血人間。紅茶好き。
「選手を交代させては賭けが成立しない」と怒りを露わにするが、トミーの「当日ベットなら可能だ」という一言で思い直し、「4Rでそいつが倒れるようにしろ」と指示を出した上で許可する。

□ボリスの依頼、そして犬登場
ボリスは、質屋を経営する黒人のソルにケースの奪取を5万ドルで依頼する。その時偶然、ヴィニーという黒人が犬を連れてソルの店に来ていた。ヴィニーは、「アクセサリーをミッキーから買い取った際、この犬をもらった」と言う。

□ノミ屋襲撃事件
ソルはヴィニーと黒人の“逃がし屋”タイロンを仲間にし、3人で「裏ボクシング賭博のノミ屋に訪れたフランキーのアタッシュケースを奪い、ボリスに渡す」ミッションを遂行しようとする。
しかし、(ボクサーが交代したため)この日の場外の賭けは全て無効になっていた。※会場内の賭けは有効というルールらしい。
なのでノミ屋には小銭しかないという窓口女性。そしてこの女性は巧みにソルから銃を奪い、セキュリティドアを閉鎖。フランキーだと思っていた男性は別人で、襲撃したのに何も得られなかったショックから、ソルとヴィニーは(防犯カメラがあるのに)マスクを外してしまう。実はカギがかかっていなかったドアからタイロンの手引きで店外に出た2人。その後、タイロンの手柄でフランキーを捕まえることができた。

△パイキーの右フック炸裂
ターキッシュの念入りな事前説明にもかかわらず、ミッキーは相手を試合開始直後に“秒で”TKO、圧勝してしまう。その時のブリックトップの顔、大口参加者の顔、ターキッシュとトミーの顔。

□事務所でボリスと会う
ソル、ヴィニー、タイロンの3人は、フランキーを事務所に連れ込み、紅茶のポットカバーを頭に被せて、縛りあげた。ボリスを呼び出し、「ケースはある、だがノミ屋に金はなかった、どういうことだ」と詰め寄る。ボリスは「それはなぜかわからないが、1万ドルで手を打たないか」と提案。ケースの中の大粒ダイヤを見たソルとヴィニーは、1万は安いと粘る。その時うっかり「ボリス」と名前を言ってしまう。
(フランキーはボリスから銃を買っているので)「まずい」と感じたボリスは迷いなくフランキーを射殺。しかしケースの鍵の暗証番号を知る者が死んでしまった。ボリスは、フランキーの手にケースが括られていたことから腕を切り落とし、「二度と俺の前に顔を見せるな」と告げ、腕ごとケースを持ち帰る。

△ブリックトップの再戦要求
逃げなければ殺されると思ったターキッシュは、ブリックトップの事務所の金庫から自分の分の金を取り、高飛びしようと考える。しかしその考えは読まれていて、ブリックトップと部下が事務所に待機していた。「もう一度ミッキーを試合に出し、今度こそ4Rでダウンさせろ」と意外な提案を口にする。もちろん逆らえないターキッシュ。自分の分の金も奪われた。

▲ブリックトップとご対面
残されたフランキーの死体を前に途方に暮れるソルとヴィニー。一方、解放されたタイロンは、ブリックトップの部下にあっさりと捕まる。ブリックトップはノミ屋を襲撃した犯人を全員殺すつもりで、タイロンだけは部下に顔と名前を知られていた(タイロンの顔も防犯カメラに映っていた)。タイロンは、ブリックトップの獰猛な飼い犬による拷問に負けてソルたちの居場所を吐く。
事務所に訪れるブリックトップ。寝袋のような袋に詰められ、肉切包丁を手にした部下たちを前に震え上がる3人。苦肉の策でソルは、4日くれたら大粒ダイヤを持ってくると叫ぶ。そこに甘い汁を感じたブリックトップは、「2日だ」と期間を縮めて3人を解放する。

□アビーが賞金稼ぎを雇う
賭博好きのフランキーを心配して、NYからロンドンまでやってきたアビー。従兄弟のダグとの挨拶もそこそこに、大急ぎで裏ボクシングが行われる会場に向かったが、フランキーの姿はなかった。ダグの娘の提案で、強靭な体をもつ凄腕の賞金稼ぎ・トニーを雇う。トニーは早速、情報屋を脅してノミ屋を襲った人間が誰か突き止める。
続いてソルの頭に銃を突きつけ、ボリスの仕業と把握するトニーとアビー。
さらに幸運なことに、ダグの店にボリスが大粒ダイヤを売りにくる。アビーの部下・ローズバッドがボロボロになりながらも、ボリスを痛めつけ、ボリス宅の床下にケースがあることを白状させる。ケースはすでに開いていたので、ここでようやく大粒ダイヤとの対面を果たすアビー。

△ミッキーとの交渉失敗、そして……
ターキッシュとトミーは、ミッキーとの賭けに負けてしまった。トレーナーを買わないと出場させるのが難しいと報告するターキッシュ。ブリックトップは罰として、部下にトミーのスロットマシン店を襲撃させ、さらにミッキーが愛する母を、彼女が住んでいたトレーナーごと焼き払う。

ここから物語は徐々に終盤に向かう。ボリス宅から出ていくアビー達の車、それを追うソル達の車、そして「全然使えない銃の文句を言いに」ボリス宅に向かうトミーとターキッシュの車による連鎖芸も見物。

大粒ダイヤの行方、そしてボクシング再戦の行方はどうなるのか。それを見守る物語。

書き出したら止まらなくなってしまった。本筋とは関係ないが、「含みのある言い回し」がしばしば出てくるので、字幕ではややわかりづらいかも。声の違和感は我慢して、標準速度での吹き替えで観たほうがわかりやすいかもしれない。パイキーの言葉のわからなさも吹き替えのほうがリアル。

この物語を原作なしで書き上げたガイ・リッチーは本当に凄いと思う。
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