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猟銃のdiesixxのレビュー・感想・評価

猟銃(1961年製作の映画)
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あらすじとタイトルに惹かれて見た。原作は井上靖の芥川賞受賞作。未読。Wikipediaで読むと、一人の男性に向けた3人の女性(妻、愛人、愛人の娘)からの書簡形式で、愛憎を描く凝った構成のものらしい。映画冒頭の語り口にその片鱗が見られるが、基本的には映画は客観視点なので、起こったことを淡々とという感じ。
大映の看板女優、山本富士子を迎えての松竹映画。なんだけど、ルックが黒黒しているし、登場人物の暗く陰湿な性格も相まって、ほとんど大映映画にしか見えない。監督は五所平之助。
佐分利信は、若い岡田茉莉子と結婚してるけど、愛情はなくて、岡田の幼馴染で従姉妹の山本富士子と不倫するようになる。山本富士子は、佐田啓二と結婚していたが、佐田の昔の愛人が隠し子の娘を連れて現れたのをきっかけに離婚。隠し子を引き取り単身で育てている。岡田は二人の不倫に気づきいていて、なにやら企みを隠したまま8年が過ぎた…。心根を隠したまま山本富士子に接する岡田茉莉子がかなり怖い。悪役みたいな描かれ方だけど、どう考えても本人悪くないのでちょっと同情する。
猟銃の場面はサスペンスフルだが、そこからは緊張感が失速。てっきり猟銃がキーアイテムとなって、もっと取り返しのつかない悲劇が起こるのかと思っていたので拍子抜けした。
成長した娘を鰐淵晴子が演じているが、大人の無責任に巻き込まれて一番の被害者。
話は地味だが、映像美や演技、演出で見応えは十分。JAIHOにて初見。DVDにもなっていないようだが、画質も良かった。
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