ユミコ

猟銃のユミコのレビュー・感想・評価

猟銃(1961年製作の映画)
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猟銃に始まり猟銃で〆る。
不倫からの不倫。

佐田啓二さま、乙羽信子さま、岡田茉莉子さま、山本富士子さまらのご出演、タダで観てしまえる罪悪感。と同時に大いなる期待、震えるおてて、そしてこの胸の高鳴り………!
大袈裟じゃありません。自分を焦らしに焦らし、ついに解禁!!

冒頭 ある夫婦が自宅で他愛ない会話をしている。三杉(佐分利信さま)とその嫁 みどり(岡田茉莉子さま)。一見ごくフツーの夫婦だが、そうラブラブでもない。その会話の中でみどりが自身のアルバムを夫に見せた時、その中にたまたま含まれていた みどりと大の仲良しのいとこ、彩子(山本富士子さま)の写真に三杉が反応 → 一目惚れ。

一方、その彩子は婿養子で医師の夫、門田(佐田啓二さま)との裕福な暮らし。
そこに突然、ちょっと異様〜な様子の見知らぬ女(乙羽信子さま)とその娘(小学生)がやってきた。疲れきった表情をしたその女は開口一番、自分の娘の父親は門田であり、自分はこれからどんな事をしても1人で働いて行かねばならないから娘をここに置いていく! と言い放ち、娘とランドセル類を乱暴に置いてさっさと出ていってしまった。
彩子は夫の不貞に大きなショックを受け、悩んだ末、門田との別れを決意。けれど置いてきぼりのその娘は自分が預かるしかないと。男手では無理があるだろうし 何よりその娘が不憫だからという考えだと言う。
その後すぐにその娘の母親が自殺したとの知らせを受ける (エ… 乙羽さまもうおしまい……?!てなった)。

門田と離婚(婿養子だったので出た)しても彩子はその娘を自分の子のように大切に育て続けた。
ある時、彩子が みどりの家を訪れた際、初めて三杉に会う。三杉は彩子の写真に一目惚れしていたのでやはり実物にもすんなり惚れてしまった。そして彩子のほうも…。2人は惹かれ合う。そして不倫開始。

2人はこっそり頻繁に会う。当然ながら絶対みどりに気づかれぬようにと注意しながら…。もう離れられない2人。門田の件で傷ついていた彩子も、みどりに対し既に冷めきっていた三杉も、2人とも幸せの絶頂だった。

しかし直ぐにみどりは2人の関係を知ってしまう。

長い長い年月、2人は変わらず愛し合っていた。
早い段階でそれを知ってしまっていたみどりだが、何故かずーっと気づいてないふりを貫いた。
やがて門田の娘もすっかり大きくなった…

門田については、彩子が もう成長したその娘(鰐淵晴子さま)に全てを話していた為、娘は自分の生みの母、育ての母 双方を苦しめた父親を良く思うはずもなく、途中、父と娘が出会うシーンがあるが、気持ちはすれ違った。

ある時ついに、みどりは彩子に「2人の関係をもうずっと昔から知っていた」と告げる……!
そしてみどりはこう加えた。「あなたたちは私を騙していたけれど、私もあなたたちの関係を知っていたのに知らないふりをして同じように何年もあなたたちを騙していたことになる」と……
彩子は動揺した。

そして同じ頃、彩子に ある知らせがあった。
それは彩子にとって 特に大きなものではないし、驚きも少ないだろうと思っていたけど彩子はそうでもなかったようだった。娘の事を思うとそうなるのかなあ‥ とも考えたが、実は!!

ここからが驚きだった。
驚きの、想定外の展開。
そして、それより何より、そうなってしまった理由がもっともっと凄かった……!
真に騙されていたのは……………。
私には予想だにしなかった展開。
衝撃…… しかしそれはエラくエラく筋の通った納得のいくものでもありました!!
そしてその想いが胸にずっしりと……
(この辺りはネタバレになるので ぼかして書きました)

一度は観ていただきたい作品です。こんな結末もあるのです……
今となってはドロドロ不倫ものの印象ではなく、「衝撃」と「美しい純愛」を描いた作品という後味です。

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五所監督の作品、他に観たいもん10は有りマス! でも探さないことには絶対向こうからはやってこない(それもまた楽しいですが) ものばかりぽいです。

啓二さまは安定の美しさで幸せでした♡
しかし主体性のない男の役も時々やっちゃう啓二さま(でもそれもかわいい)。
今作では出番が超少なく残念でした(T ^ T)
(出来れば「眼の壁」のように出突っ張り希望!! 笑)

そして乙羽さま、凄かった………!
たった、ご2分のご出演……
たったの「2分 」ですよ!?
なのに今、私の頭の ど真ん中を陣取って支配しているのは乙羽さまのあのお姿、あの演技、あの「2分」のシーンなのです!!
す、すごい……! 日本一凄い!
日本一です!! 乙羽さま、貴女というお方は………!
ユミコ

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