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コーダ あいのうたのcookieのネタバレレビュー・内容・結末

コーダ あいのうた(2021年製作の映画)
4.2

このレビューはネタバレを含みます

フランス映画「エール!」(未鑑賞)のリメイク版。
暗くなりがちな内容をコメディタッチで描く、快い余韻が残る作品。

ハリウッドでは近年、
●非白人を白人俳優が演じる「ホワイトウォッシング」(「ハミルトン」では、これを敢えて逆にしていた。)
●性的マイノリティーを異性愛者の俳優が演じる「ストレートウォッシング」
...といった配役に関しての議論がされているというが、本作は聴覚障害者の役を実際にそうである俳優が演じており、そこはオリジナル版と違っている。

Eテレの「バリバラ」で、トイレ使用時の「音」のことで注意されたという聴覚障害者の話を聞いた時、音の無い生活のことが意外と想像できていないことにハッとしたことを覚えているが、本作ではその日常がとてもリアルに描かれている。
家族で唯一の健聴者ルビーが両親よりも「大人」にならざるを得なかったり、自分が犠牲になって助けるしかないといった、生まれ持った「家庭の事情」がとても具体的。

冒頭からルビーが歌好きなことは明らかなのだが、それを家族が知る由もなかったことに後から気付かされることになる。
歌への夢を知って当てつけかも?と勘ぐったり、娘が健聴で悲しかったという言葉に、酷い母親のように思えたが、それは娘と思いが同じようには共有できないという意味での葛藤。そういうことも包み隠さず伝える家族の関係が表れていた。

時々「手話ニュース」を観ていて感じるのは、手話は顔の表情を大いに活かして簡潔に分かりやすく伝えるツールだということ。
最初は父親の下品さが苦手だったが、ズバリ物申したい性分の彼らしい、ツールを活かした表現なのだと許せるようになってくる。言葉なしでも「熱」を感じさせてくれる。
ルビーの歌を「感じたい」あのシーン、ジーンときた💧

そして、忘れてはならない兄の頼もしさ✨

クラッシュやデヴィッド・ボウイの曲を始め、重要なポイントとなっているのが音楽🎶
特に「青春の光と影(Both Sides Now)」のシーンは、歌詞も響いてグッとくる💧
あれから時々youtubeで聴いているが、ルビーの歌が始まると条件反射で涙が...😢
本作を観てしまったら、もうこの曲はルビー(エミリア・ジョーンズ)の声でないと!

「サウンド・オブ・メタル」で覚えた拍手👏の手話は分かったが、ラストにルビーが家族に向けていたサイン🤟、あれは「I “Really” Love You」だった💞
(指の“クロス”がポイント!)

原題は「CODA」
「聴覚障害者を親に持つ聞こえる子供(Children of Deaf Adults)」と「楽曲の終わり」の音楽用語のダブルミーニング。
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