Shin

コーダ あいのうたのShinのレビュー・感想・評価

コーダ あいのうた(2021年製作の映画)
4.8
タイトルのCodaとはChildren of Deaf Adultの略で、耳の聞こえない親に生れた、耳の聞こえる子供のことだそうだ。主人公ルビー(エミリア・ジョーンズ)のように、幼少期から家族とコミュニケーションを取ることが難しい状況にあった人たちの苦労は計り知れない。

だがサブタイトルにあるとおり、ルビーには歌を唄うという生き甲斐があり、心の拠となっている。初めて見たけど、エミリア・ジョーンズの歌声が素晴らしかった。歌も上手く、手話を使いこなし、演技もできるとは本当に恐れ入る。

そして、何と言ってもこの歌声を見聞かせる演出方法が巧みだった。高校のコンサートでの観客席の両親のシーン。夜空の下、車の荷台での父親と語るシーン。オーディションでのシーン。あの人物の飛び入りはご愛嬌😊

フランス盤の『エール』を観てないから、独自のアイデアなのか判断はできないけど、監督と脚本をしたシアン・ヘダーもすごいな。音楽も良かった。

また両親と兄を演じた俳優たちは、本当に耳が聞こえない人たちだそうだ。果たして商業映画において、邦画でこのような作品を撮るとなったら、同じようなキャスティングができるだろうか。そうは思えない。

耳の聞こえる人も聞こえない人も一緒に楽しめるこんな素敵な映画はめったに観られるものではない。
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