自分以外の家族が全員聴覚障害者という家庭に生まれた少女・ルビー。
家族の手話通訳としても家業である漁業を手伝う彼女だが、ある日高校の音楽教師によって、彼女の家族は知ることのできない「歌の才能」を見出される。
家族愛と音楽愛に溢れて、温かな涙が止まらない作品。でも、ただの綺麗事ではなく、ヤングケアラーや家族の問題にも焦点を当てているようで奥深く感じました。
鑑賞前から期待大でしたが、手話の演技に宿る情熱と、音に関するある仕掛け、クライマックスの歌唱シーンはやはり特別で、期待を超える感動に、要所要所でボロボロ泣いてしまいました。
何回でも観たくなるし、年月を経ても名作として語り継がれる映画になってほしいと思います。
特に、手話が空気を切る音に心揺さぶられる感覚は、劇場でこそ体感してよかったと思わせられました。
歳を重ねるほどに強く思う、子どもが思っているほど、親は、大人は、完璧ではないものだということ。いくら絆の強い家族でも、側から見たら褒められるような関係には映らなかったり。そういった面も誠実に描いているのが好感的で、世間から孤立してしまいかねない家族の事情と、そんな家族への愛も自分の夢も嘘じゃない子どもとの間にある家族の絆は、部外者に言及しきれないものがあるように感じました。
