jonajona

コーダ あいのうたのjonajonaのネタバレレビュー・内容・結末

コーダ あいのうた(2021年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

アカデミー賞取ったと聞いて警ら隊です。
ちゃーんといい映画だった。

聾者の家族の中で1人だけ耳が聞こえる女の子の自立と成長、家族愛のお話。

少女の青春、成長物語としてみてたけど終始家族愛に溢れててそこが凄い良かった。あとお父さんお母さん、お兄ちゃんのキャラが強くて、家族に振り回される好きだけど煩わしい感じが笑えるムードなのが最高。序盤15分くらいの演出がすごい綺麗。常にユーモアを含めて聾者とパンピーの主人公のすれ違いギャグみたいなのが展開するので普通に『笑える』。音は聞こえないけど振動は感じる、とかなるほどという。センシティブなものを笑えるように描けるのは凄い。同時にこれは確かに大変そうだぞとも考えさせられる。

前半コメディとして見れるのが今っぽい軽さ加減で素晴らしいのかも。後半はエモい。娘の歌声を歌いたい気持ちを理解しようとするお父さんが特に泣ける。
喉に手当てるところやばい。ここぞと言う時に音を止める演出が秀逸で、そこまで随分外側から描かれていた彼ら自身の世界が1番印象に刻まれるタイミングで引き出されてると思う。
あと最後に歌うところはもうまんまと泣かされて悔しい。笑
私は物事を両面から見てる、てね。

先生のキャラがすべての潤滑油になってる。ユーモアのあるクセつよ先生って最高だな。恋も夢も先生がいなけりゃ始まってないじゃんお前はロビンウィリアムズかよぉ。
お兄ちゃんが女の子とバーでエロい感じになるシークエンスの、特に理由のない感じすごい好き。言葉がなくてもエロい感じになるの格好いい。
お母さんがママ友みたいな所で会話が聞こえなくてナチュラルに置いてけぼりにされてる空気感も絶妙。お母さんの表情がずっと豊かでパンチが効いててよかった。
なにげに出だしは恋心から始まって、(テーマからの脱線・逃避)後半からはシームレスに恋より家族愛へと移行して彼ピッピの存在感はフェードアウトしていくようなこの構成が見事。


どうでもいいけど爆音で鳴るマイシャローナは大好物なのでもうそれだけで満足。

【今日の名言】うろ覚え

(父)
ーお前の歌を聞かせてくれるか?

(母)
ーこんなに小さなあなたを抱き抱えて、聴力検査の結果を待ってる時に、思ったの。どうかこの子も耳が聞こえませんようにって。…分かり合えないんじゃないかって思った。母と私はすれ違いばかりだったの。だから。こんな母親なんて恥ずかしいと思うんじゃないかって。

(妹にいつまでも頼りたくない情けなさと夢を諦めようとする事への怒りを込めたお兄ちゃんの言葉)
ーお前が生まれてくるまでは平和だった!

(主人公の歌)
ーいま私は物事の両面を見ている。
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