家族の愛と絆を描いた本作でのラストで歌われる「青春と光の影」であるが、家族の崩壊という全く正反対のテーマである「ヘレディタリー継承」でも使用されていることが興味深い。
歌詞を調べてみると
「風になびく天使の髪
空に浮かぶアイスクリームのお城
そしてあちこちへ流れて行く羽毛の渓流
わたしはそんな風に雲をみていたわ
けれど今それは太陽を覆い隠し
雨や雪を降らせるだけのもの
やりたいことがたくさんあったのに
雲が邪魔をして来たの
今わたしは雲を両側から見つめている
上の方や下の方から、あれやこれやとね
でもそれは雲の幻影だって気がついたの
本当は雲のことなど何もわかっちゃいないんだって
中略
今わたしは人生を両側から見つめている
勝者の側や敗者の側から、あれやこれやとね
でもそれは人生の幻影だって気がついたの
本当は人生のことなど何もわかっちゃいないんだって」
とのこと。
人生や物事をを違った視点で見てみると見え方が変わってきたよという歌詞だろうか。
「コーダあいのうた」ではろう者と健常者という2つの見え方と言う部分と照らし合わせているのだと思うが、「ヘレディタリー継承」での使われ方は、家族という絶対的に愛があると思われているものも、本当はそんなことないんだよとでも言っているような、とても不吉な意味に見えてくる。1つの歌でも使われ方によって大分印象が異なって見えますね。