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コーダ あいのうたのmalのレビュー・感想・評価

コーダ あいのうた(2021年製作の映画)
3.0
青春もの、家族ものとして高評価を受けるのも分かります。話はシンプルですが演出もいいですし。手話の美しさ、流麗さやジェスチャーの豊かさ!両親のセックスを見るという、めちゃめちゃ気まずい後のあの下ネタ。私が主人公と同じ状況だったらめちゃめちゃきついわ~!反抗期待ったなしでしょ!でも客観的に見るとすごい笑えます。あとはコンサートのシーンで両親が眠たそうにするのも分かるよなぁと。そこでふと音量をミュートになる演出もすごく良かったです。これが彼ら彼女らの世界なんだと。手の早いおんな友達が手話を若干覚えてるシーンがサラッと見えて、こういうのもいいんですよ。劇中で流れる「青春の光と影」が作品とよくマッチしている。

こんな感じで面白いことは面白いし、良いところはたくさんあると思うんですけど、正直なところ、もやもやした作品ではありました…。ヤングケアラーの主人公が自分の夢か家族かを選択せざるを得ない状況、これが辛い。娘に仕事を当然のように期待している家族、特に母親がどうしても好きになれなかったです。愛情が感じられるシーンもあり、確かに愛のある家庭なのでしょうが、自分たちが子供の将来を狭めているという視点が母親にはほぼ見られず。父親や兄がもっているような葛藤がなくて、モヤっとしました。

本来、社会がケアすべきところを若者が負担している構図は未だ残る社会の負の一面。綺麗事だけじゃ生活できないけど、子供にはそれが通用する環境であって欲しいなと思うわけです。
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