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コーダ あいのうたのandesのレビュー・感想・評価

コーダ あいのうた(2021年製作の映画)
3.0
聾の要素に引っ張られそうになるが、そもそもベタな話で青春もの。『リトルダンサー』(2000)との類似点も多い。悪い映画ではないけど、批判し難い要素があるだけで実際は並の映画である。
一つ見落としてはいけないのが、主人公の家族は「聾」以外にも問題点が多いこと。別に健常者でも十分に成り立つ話である。ということは、この設定にした理由があるかとも思うが、そこは微妙というか半分成功、半分失敗という感じ。まず、この家族がこれまで生計を立ててこれた理由が説明不足。主人公が生まれる前〜手伝える前など、今よりも遥かにマイノリティへの理解がない時代だと思うが、どう生活していたかリアリティが感じられない。障害を持った人が「聖人」でない点は良いが、それにしては最後「なんか上手く行きました」って感じなのはどうなんだ。漁業関連の問題は解決してないぞ。あと、ボーイフレンドが主人公との対比になるはずなのに、書き込みが不足。彼も家族で悩んでるはずなのに勿体ない。
監督の趣味かもしれないけど、クリムゾンとかシャッグスとか目配せがキツイ。「私は音楽をわかっている」という自意識を感じる。映像的につまらないのも気になった。要はTVドラマでも良い造り。「辛い話を明るく撮る」ってこういうことじゃないと思うけどなぁ。アカデミー賞を取ったが、評価の源泉が「実際の聾唖者が演じている」だったら残念。
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