「聴覚障害にも響く愛の声」
4人家族の中でただひとり耳の聞こえる少女の勇気が、家族やさまざまな問題を力に変えていく姿を描く。監督は「タルーラ 彼女たちの事情」に続き長編映画2作目のシアン・ヘダー。
2014年製作のフランス映画「エール！」のリメイクらしいが、これは傑作だわ。まず設定の時点でどストライクというか。正直ズルいとすら思うよこんな面白くなりそうな予感しかしない設定。4人家族の中で娘だけは音が聞こえて後の3人は全員聾者（耳が聞こえない障害を持つ人をこう呼ぶ）。しかし娘は歌うことが大好きだけどその思いを家族に押し殺して家業を手伝うってのがもう泣ける。
自分の気持ちを今まで家族に伝えてなかったが、音楽の先生から言われたことをきっかけに思いを吐露する場面がある。耳が聞こえないせいで娘の歌声がどんなものかが確かめようがないのが何とも言えないよなあ。
実際に娘が歌っている時に我々視聴者にも音が聞こえなくなる描写があって、家族3人と同じ立場になるトコが印象に残った。周りと合わせることができない、リズムさえ乗れない、拍手のタイミングすら分からない苦悩ぶりが窺える。これが伏線になって、その後に父親の目の前で力強く歌うトコはボロボロ泣いた。父親が真っすぐルビーの瞳を見ながら耳では聞こえないが心で何かを感じ取ったんだろうなあ。
あ、劇中歌う曲も名曲ぞろいで、歌声もメッチャ上手いので、そういう説得力も当然あります。大学入学試験の時の「青春の光と影」が1番良かったな。あんまり言うとネタバレになるが、この時家族に見せたいが為に手話しながら歌うんだよな。ここも泣けるし名場面過ぎてヤバいです。
ちょっと前半の下ネタジョークがクドいトコが多いが、トータル的にはガチで名作。もう終盤はずっと号泣していたよ自分。泣きたい人や「はじまりのうた」が好きな人には是非オススメ。
