このレビューはネタバレを含みます
ハッピーエンドを迎えられてよかった
聾唖者だけの家族に健聴者の娘が産まれたとき、心が沈んだと母が話す場面があり少し驚いた
だがそれは当たり前の話で、障害者と健常者ではどうやってもわかり合えない溝は必ずあるはず
聾唖者にとっては耳が聞こえないことが常識で、家族という狭いコミュニティに彼らにとっては異質な耳の聞こえる人間が加わることは、私には理解できない種類の不安だったのだろう
兄が主人公に向けた「お前が生まれるまで平和だった」というセリフが、きっと両親にとっても本心だったはず
娘の合唱コンクールに家族が来て、何だかんだ感動し理解し合う流れになるんだろうと思っていたが、無音の演出にはやられたと思った
周囲の観客の反応を見て何となく察することしかできない孤立感
娘にどれだけ歌の才能があると言われようが、それを知る術はない
障害者の立場は当事者でなければわからないことだが、その一端にでもこの映画を通じて触れられたのは良かった
娘を信じた家族は素晴らしい
大学受験の土壇場で手話をしながら歌う度胸
ルビーもまた、家族がいたから堂々と歌い切れたのだろう
これからの登場人物の行く先を考えるとただ平和なだけではないだろうけれど、みんなが前向きに生きていくラストで、心温まる良い映画だった
