クスノキ

コーダ あいのうたのクスノキのネタバレレビュー・内容・結末

コーダ あいのうた(2021年製作の映画)
3.5

このレビューはネタバレを含みます

こういった社会的弱者あるいはマイノリティと言った人々を題材にした物語を見るたびに、欠けることなく生まれてきた自分がこの人たちにどのような感情を向けて良いのかわからなくなる。可哀想と同情すればいいのか?映画を見たからという浅いきっかけで手話を勉強すればいいのか?そのような、健常者の側から手を差し伸べてあげているような真似は当事者たちを不快にさせてしまうのではないか?といった感情が私を支配する。

途中、ルビーのコンサートのシーンで、少しボーッとしてしまった。その時いきなり音が聞こえなくなり、私は「スピーカーの不調かなにか」なのかと思って映画を止めそうになった。
この瞬間に私は自分の中で音が聞こえない世界は「通常ではない」と認めたことになる。既に2時間近く、ろうの人についての映画を見ているのに、自分がろう者の立場に立って見ようともしていないことに気づかされた。
この演出にも驚いたが、それよりも自分の心の狭さ、浅ましさにショックを受けた。

この映画で流す涙は、感動からではなく、自らの罪悪感からくるものだ。
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