さゆ

コーダ あいのうたのさゆのネタバレレビュー・内容・結末

コーダ あいのうた(2021年製作の映画)
3.3

このレビューはネタバレを含みます

人生の夜が明ける年頃の、希望と苦悩が入り乱れた胸中を思い出させる作品だった。

家族のせいで好きな子の前で恥をかいたり、進路の話し合いが平行線になってしまったり。
それが父なのだ、母なのだと分かっていながらも苛立ちがなくなるわけではない。私も高校生の時、恥ずかしながらそういうことがあったなと思った。
音大受験の歌唱曲が綺麗。
雲の本当の形を知らない。愛の本当の形を知らない。無知であることさえも希望に変換してしまえるような若さが本当にかけがえがなく、素晴らしかった。

主人公が自分の家族や生活環境を受け入れていく過程はこの作品の大きなテーマなのだが
とても遠回しな過程を使って描かれている印象があった。これくらいが自然なのかなとも思い、好感を持った。
ただ、最終的には家業の問題を家族に投げる形で音大に進学してしまうので、
個人的にラストにすっきりしきれなかった。

また、(受験しないことになっていたのに)
当日の朝家族総出で受験会場まで車で送ってくれて急遽先生が伴奏してくれて……。という展開が嘘くさいなと感じてしまい、その点が少し残念だった。
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