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コーダ あいのうたのGamのレビュー・感想・評価

コーダ あいのうた(2021年製作の映画)
4.0
自らの世界を掴んだ子は、
もう二度と家族に還らない。

夢を掴もうとする姿に感動するだけじゃない。同時に少女が大人になってしまう姿が見えて、もう帰ってこないような寂しさを感じた。

親は子を導くと同時に、縛るもの。世界の正しさを教えようとする余りに、エゴイストになってしまう。(子供時代に親以外の大人と接触する機会が、いかに大切か。)
ときに家族は呪いになり、曖昧で理屈がないからこそ、許せないこともある。でも理屈がないからこそ、なにがあっても許される、どんな形でも受け入れられる。それも家族だけのもの。

音大受験の歌唱シーン。手話で伝えながら歌うことで、彼女の歌がより深くなっていく。家族が道の障害になっていたけれど、やっぱり彼女には家族が必要であることがわかる。

古きを拒絶し新しい所に向かう。最も近しい人たちを否定して、自分だけを信じて進むこと。そういったエネルギーで溢れていた。いつまでも生命力を帯びた人生を送りたいと思った。
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