ドスティ

コーダ あいのうたのドスティのレビュー・感想・評価

コーダ あいのうた(2021年製作の映画)
5.0
好きにならずにいられない漁師一家の笑って泣けるフィールグッド・ムービー!

懐メロの名曲ばかりで嬉しかったし、ろう者の俳優が生き生きと手話で掛け合いをする姿は初めて観たかも。

王道ストーリーながら下品なユーモアや母の正直な想いなど当事者への誠実さを感じた。

実際に手話で会話する役者の表現の豊かさに驚いたし意味を知らなくても伝わってきた。
無音演出は秀逸だけど、聴者の特権についても忘れずにいたい。

そしてやっぱり音楽映画でもあるので完璧な選曲「青春の光と影」と、心を惹き付けるエミリア・ジョーンズの歌声がずっと響いてる。
演技も輝いてた。

アカデミー助演男優賞受賞のトロイ・コッツァーは本当に素晴らしかった。
卑猥で汚い言葉遣いや喧嘩の時の激しく速い手話、決して理想的な父親じゃないからこそ人間味に溢れてる。
振動を感じるラップが好きなのも後から効いてくるし。

Lの世界で惚れて以来愛しのマーリー・マトリンの、エゴが強くて少し困った母親も良かった!
子供が聴者と知った時は分かり合えないと悲しかったと話すシーンはとても印象深く、自分の思い込みに気付かされた。

家族の未来を考え、スマホを使い女性と楽しんだり何でもこなせるのに妹を頼る両親を見て劣等感を抱く兄のダニエル・デュラントも魅力的!

V先生最高だけど、ちょっとキャラが出来すぎ。
エウヘニオ・デルベス演じる先生がメキシコ系移民である事や親子共依存とヤングケアラーの問題も描かれ、優れた脚本。

マイルズ誰かに似てると思ったら、こちらも名作「シング・ストリート」のフェルディア・ウォルシュ=ピーロ!
ドラマでお馴染みケヴィン・チャップマンに至っては全く気付かなかった。

アカデミー作品賞受賞については、劇場で観るだけが映画じゃないという転換点だと思う。

初期からアカデミー賞に挑みまくったNetflixではなくApple TV+というのは皮肉だし、配信オリジナル作品とも言い難く日本では公開したけど。
当事者キャスティングの重要性という意味でも喜ばしい。
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