てっぺい

劇場版 呪術廻戦 0のてっぺいのレビュー・感想・評価

劇場版 呪術廻戦 0(2021年製作の映画)
4.0
【目力映画】
怒りの描写に見る目のヨリのパンチ力で、ラストバトルの迫力、没入感も最高潮。人物像掘り下げまくりで、より本編や各キャラが好きになるし、前日譚で初見でも楽しめる。

◆トリビア
○ 劇中で描かれる“百鬼夜行”の決行日である12月24日に向けた初日は、午前0時に全国7大都市14劇場で最速上映が行われ、1万枚を超えるチケットが即日完売した。(https://www.nikkansports.com/entertainment/news/202112240000999.html)
○ 作者の芥見下々にとって『呪術廻戦』は初連載作品ながら、当初から評価は高く、編集会議でジャンプ編集者が満場一致で連載を決定したという逸話を持つ。(https://renote.jp/articles/68060)
○ 本作では、クリスマスイヴに行われる「百鬼夜行」に至るまでの四季が描かれた。これは原作には見られなかった演出。(https://realsound.jp/movie/2021/12/post-933963.html)
○ 祈本里香が事故死したのと、『呪術廻戦』本編の主人公である虎杖悠仁の出身地も、同じ宮城県仙台市。(https://renote.jp/articles/68060)
○ 乙骨の声を演じるのは「エヴァンゲリオン」シリーズの碇シンジ役の緒方恵美であり、内向的で自己の存在理由などを自問自答をする性格が共通している。(https://news.yahoo.co.jp/articles/c62e730552e74dae2b42b02fd0abf109e1579e05?page=2)
〇原作漫画の累計発行部数は6000万部を突破。(https://news.yahoo.co.jp/articles/0e58999840c1dc5cc6359a7d73037e5c7bb020f1)

◆概要
「週刊少年ジャンプ」連載のコミックを原作とするテレビアニメ「呪術廻戦」の劇場版。
【原作】
芥見下々(あくたみげげ)による前日譚「呪術廻戦0 東京都立呪術高等専門学校」
【監督】
朴性厚(パク・ソンフ)
【出演】
緒方恵美、小松未可子、内山昂輝、関智一、中村悠一、櫻井孝宏、花澤香菜

◆ストーリー
高校生の乙骨憂太は、幼い頃、結婚を約束した幼なじみの祈本里香を交通事故により目の前で亡くしていた。それ以来、呪霊化した里香に取り憑かれるようになった乙骨は、暴走する彼女に周囲の人々を傷つけられ苦悩していた。そんな中、呪霊を祓う“呪術師”を育成する教育機関・東京都立呪術高等専門学校の教師にして最強の呪術師・五条悟に導かれ、乙骨は同校に転入することに。自身の手で里香の呪いを解くことを決意した乙骨は、同級生の禪院真希や狗巻棘、パンダと共に呪術師として歩みだすが……。


◆以下ネタバレ


◆掘り下げ
乙骨にシンパシーを感じ気遣う狗巻。その出自と目標を乙骨に語る真希。そして五条と夏油の間に見え隠れする友情。細かく言えば夏油になかった額の傷。本線では主として描かれる機会の少ない彼らが掘り下げられる事で、彼らをもっと好きになれるし本線がもっと楽しくなる。もちろん乙骨も、人としても呪術師としても本作で一気に急成長。里香と誓った純愛が夏油のうずまきを打ち砕くなんて発想も素敵だったし、浄化された里香を胸に憂太がどう活躍していくのか見たくなった。本編では帰国した憂太からリカ、という名前だけ出たようなので、どんな展開になるのかに期待。

◆総力戦
高専の教員達や生徒達、京都校の生徒達まで登場し、呪霊をバッタバッタと斬っていく様が気分爽快。個人的には七海や東堂、憂憂のなんとも頼りになる感が最高だった!スピード感もよし、総力戦、大団円感が、映画館で見る映画ならではのワクワク感だった。

◆目力
夏油とのバトル時の、乙骨の気が触れたような目のヨリの画。同じくバトル時の夏油の背筋も凍るような冷徹な目のヨリ。冒頭
、乙骨の秘匿死刑を匂わされ「乙骨側につく事になるけどね」と怒りを滲ませた五条の怒りの目のヨリ。各所でそんな目のヨリのカットが使われていて、見ているこちらの気持ちが震えるような、強烈なアクセントになっていたと思う。

◆四季
小学校に咲いていた桜。乙骨が真希に剣術の指南を受けていた草むらで鳴いていたセミ。夏油が百鬼夜行を告げに来た場には大量の落葉。そして真冬の百鬼夜行。脚本家が「乙骨が五条や真希たちと過ごした時間を、お客さんにも共有してもらいたかった」と語っているように(https://realsound.jp/movie/2021/12/post-933963.html)、傷つけられた同級生達を見た乙骨の怒りは十分に伝わってきたし、その描写は鳥肌もの。本作の基本筋である乙骨の成長物語を、丁寧に作り上げていたと思う。
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