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劇場版 呪術廻戦 0のbluebeanのネタバレレビュー・内容・結末

劇場版 呪術廻戦 0(2021年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

原作未読です。

夏油は、優生思想や同族を虐げてきたものへの復讐で動いています。まさに国家やテロリストが戦争を起こす時の大義名分です。それに対して乙骨は守るために戦います。守る相手は世界などではなく、目の前にいる仲間や自分自身です。視野は狭いかもしれませんが、そこには実感できる確かなものがあります。

夏油からは自己中心的だと言われるし、結果的にはすべて彼自身の呪いが原因だということが分かります。しかし、その彼の他者に対する感情は、里香ちゃんや仲間たちによって肯定されます。失礼な、純愛だよ、というセリフに象徴されてると感じました。

本作は乙骨をはじめいろんなキャラの過去が語られますが、そのトラウマからの脱却をダラダラと描かないところが良かったです。過去は過去で、みんな今をどう生きるかをしっかり考えています。声はシンジくんでも、キャラはだいぶ違いますね。結果としてトラウマ話が爽快なバトルシーンを邪魔することなく、エンタメとしてさっぱりと楽しむことが出来ました。

しかし乙骨の設定には、自分の男の子心を完全に掴まれました。可愛い(かった)ベタ惚れの女の子が最強のスタンドのように付き従っていて、その呪いを日本刀に込めて戦うんですから。これを中2の時に見てたらきっとヤバかったです。

残念だったはラストです。結局は乙骨に持って生まれた才能があったというのは興醒めです。少年漫画的にはこのくらいご都合主義なのが正解なのかもしれません。でも個人的には、乙骨が里香ちゃんを除霊した後に力を失って一般人に戻り、そこからどう生きるのか、という描き方の方が余韻もあって良かった気がします。次回作に繋がるラストだったので、その辺はこの先に期待です。
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