かじドゥンドゥン

君は僕のもののかじドゥンドゥンのレビュー・感想・評価

君は僕のもの(2021年製作の映画)
3.0
妻が車で息子をアイスホッケーの試合に送る途中、交通事故が発生し、息子のみ死亡。それをきっかけに、夫婦の関係はギクシャクし、娘(夫の連れ子)も非行に走って、薬物で学校を停学になり帰省している。

夫は精神科医で、交際している男性のDVや親友の死などに悩む若い女性の治療を担当している。そして、通常の治療では彼女が回復しないと見込んだ彼は、自分の私事や個人的な悩みをすべて彼女に打明け、医師としてではなく、一人の悩める不完全な人間として、彼女と向き合うことにした。結果、彼女は順調に回復しているかのように見え、そのことを医師は大学の講義で発表、公私をあえて混同するこの治療法には非難もある。

そして、彼の治療法が物議を醸した直後、件の女性患者が自殺。その現場に駆け付けて茫然と立ち尽くしていた医師に声を掛けてきたのは、女性の兄。兄は、大切な人を失った苦しみを医師と分かち合いたいと、好意的な態度で接してくる。

ところが、故人の兄はこのあと、理由を付けては医師の家庭に近寄り、医師の妻と娘の心の隙につけいり、まるで精神科医のように悩みを聞いて寄り添いながら、同時進行でひそかに誘惑する。医師の家庭は崩壊し、医師自身も、息子を事故で失った心の傷をえぐられ、とり乱し始める。

女性患者の「兄」を自称する男、実は彼女のDV彼氏。女性が生前、医師から聞いたことをすべて一冊の本として書き留めており、それを読んだ彼は、医師に嫉妬し、そして彼女の死を医師の責任と考え、医師とその家族に復讐を試みたのだった。