よっくる

隔たる世界の2人のよっくるのネタバレレビュー・内容・結末

隔たる世界の2人(2020年製作の映画)
4.4

このレビューはネタバレを含みます

ループものの中で最強の重たさ。
白人による黒人への差別、差別の根っこはあまりに深すぎる。

亡くなったジョージ・フロイドさんに対して「黒人とかじゃなく犯罪者だから」というツイートを見かけたことがあるが、こういう人はドラマや映画や漫画が人生の糧にならない人なんだろうな。「JOKER」とか観ても笑えるんだろうな。フィクションをフィクションとして楽しむのも大切な作法だけど、フィクションから得られることや現実に反映できることをやってみないのは、なんだかもったいないし、物足りない楽しみ方だな、私からしたら。

「黒人だから」「犯罪者だから」
容疑がかかっている段階で、まだ罪があるかないかもわからないのに、息ができないくらい押さえつけたり、銃で撃ったり、首を締めたりして良いのかい?
黒人だったら死んでも仕方ないのかい?


何度も何度も殺されては殺される日の朝に戻る、「虐殺器官」や「イドインヴェイデッド」のカエルちゃん的な強烈な不快感のおかげで、黒人差別の片鱗を自分事として味わうことができた。

黒人の俳優や歌手はたくさんいるし、ゆーて差別なんてイマドキある?なーんてついつい思っちゃうが、いわれもなく警官に殺されたり、貧困層のほとんどが黒人という現実がしっかりある。
ニューヨークって、中学生の時に“人種のサラダボウル”って習ったのにな!
Sesame Streetでも人種なんか関係なく毛皮の友だちと楽しく人権を学べるのにな!
根っこをほじくり出さないとダメなのだ、魚の目みたいにさ。差別ってやつはクソしぶとい。

他人事として安全な場所(仮)で差別され続ける人をぼんやりと眺めている私たちがどう受け止めるか。これからどう変えていくか。

さらに、このコロナ禍で浮かび上がってきた白人や黒人によるアジア人差別。
人類は、差別に目を背けたまま生きては「いけない」のだ。

余談だが、肌の色が違うのはビタミンDが関係しているらしいよ。白人の場合は、弱い紫外線でもビタミンDを作れるように肌の色が白くて、黒人は、強い紫外線からメラニンで皮膚を守りながら、効率良くビタミンDを作っているってだけなんだって。人類としては、ビタミンDさえ摂れれば、肌の色なんて白くても黄色くても黒くても良いの。めちゃくちゃたまたまなわけよ。
差別している側からすればくだらないが、差別の真っ只中にいる側からしたら地獄であることは忘れてはならない。

そんなドラマだった。
よっくる

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