Kto

隔たる世界の2人のKtoのレビュー・感想・評価

隔たる世界の2人(2020年製作の映画)
4.5
【One-liner】何度も同じ白人警察に殺される黒人青年の話
【Pattern】タイムループ
【鑑賞しやすさ】★★★★★:32分の短編
【社会性、時事性】★★★★★



【感想(ネタバレあり)】
被害者の実名やキーワード("I can't breathe")等を引用し、白人警察官による黒人殺害が後を絶たないアメリカの警察体制(ひいては根深い人種差別)を痛烈に批判している短編映画。社会派知的スリラー。

ベッドを垂直に見せる、違和感のあるオープニングショットが後のタイムループに効いてる。"a few hundreds"のセリフ、部屋番号、タバコ、割れるビンなど細かい伏線が多い。短編だけど構成が重厚。

「絶対に殺される」ゲームをどうクリアするかというSF的なメインプロットと、随所に見られる実社会への批判(道で喫煙するだけでマリファナと疑われる、まとまった現金を持つだけで警戒される、黒人女性は銃を持つ)が嫌味なく美しくまとまってて超面白い。すぐにループのルールを理解し、攻略していく主人公と、99回目まで自分もループしていることを明かさない白人警察のコントラスト。これを全くのフィクションだとは言えない。

(友人も書いてて同意した点) 社会批判系映画の企画としては至極シンプルだけど、それを完成させる執念が凄いし、Netflixで世界に公開することは意義深い。
Kto

Kto