ちーくん

コットンテールのちーくんのレビュー・感想・評価

コットンテール(2022年製作の映画)
3.7
全て観終わった後の感想としては、良い悪いというより惜しい、勿体無いという印象が残る作品でした。監督がどういう作品を作りたかったかにもよりますが、これは完全に脚本が足を引っ張ってしまっていたような気がします。全体を通して静けさを感じる雰囲気やイギリスに行ってからの自然を感じる風景など、それぞれのシーンで良いカットがあって個人的にも凄く好みなんですが、それに合わせるストーリーが少し重苦しくて観ていて嫌悪感が勝ってしまう時間が多々あったので映像と本がミスマッチしていたと思います。監督が本重視でこのテーマを最初から意識して作ったのならもう何も言えませんが、それならそれでストーリーの薄っぺらさを感じるし、この雰囲気であれば遺灰を撒きに行く際に訪れる様々な街で過去の想い出と共に振り返る、ただそれだけでよかったと思うんですよね。父親と息子夫婦の不穏な関係性なんか最初から要らなかったし、皆んなで自然な風景の中でお母さんは、お婆ちゃんはこういう人でこういう想い出があるっていう話だけで十分成立していたと思う。こちらの方向性で作っていたなら自分は間違いなくもっと高評価で素晴らしすぎると褒め称えていたと思う。最後も良くなってきたと思ったところで終わったからここで終わりかぁってなっちゃったかなぁ。決定的な何かが足りない、残らないというかね。とはいえ、デビュー作で外国人監督が日本の雰囲気をバッチリ掴んでいたわけですから期待しかありませんね。これからどういう作品を撮っていくのか凄く楽しみです。
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