日英合作作品。
妻を愛しすぎた夫でもあり不器用な父でもある男と、その息子の再生の物語。
リリー・フランキーが自転車を走らせている、あの素晴らしく美しい画がずっと気になっていた。
このキャスティングを知り『ぐるりのこと。』の鑑賞を先延ばしにしていたことを少々後悔。
役者としてしばらく表舞台から消えていた、息子トシ役の錦戸亮。
改めて表情だけで成立する表現力を見て、上手さは衰えてないと勝手に安心。
個人的に、トシが父に放つとある台詞が本作のすべてのように思えた。
木村多江は語るまでもない。
凄いとしか言いようがない。
そして、若き日の兼三郎を演じた工藤孝生という方が醸していた空気感がすごく好きだった。
イギリスの雄大な風景と土地の人達、そしてリリー・フランキー。
いやはや、こんなにも溶け込むとは。
鑑賞後、とても貴重な芸術作品を見たような気分になった。