ソニア

コットンテールのソニアのネタバレレビュー・内容・結末

コットンテール(2022年製作の映画)
4.3

このレビューはネタバレを含みます

半分邦画、半分洋画の不思議な映画体験。

まず序盤の市場〜鮨屋のシーン
ビールテロ飯テロに加え、若き日を再現する俳優さんがしっかり似ていて何も違和感を感じなかった。
そしてイギリスの美しい風景と素敵な親子との出会い。ロイヤルミルクティーにクッキーをディップしたくなる。

ご飯の話は置いておいて、テーマは重く、終始静かなトーンで話は進んでいく。
不器用というか耽りがちな主人公は息子夫婦との関係がうまくいかず、すれ違い続ける。妻を想っていることが伝わる描写はたくさんあるのだが、これが絶妙に息子夫婦に伝わってたり伝わってなかったりするのでもどかしい。
現地の親子の優しさや、回想から、主人公と息子が一歩を踏み出していく過程を描いており、コンディション次第では泣いてしまったかもしれない。綺麗な絵もあいまって。

あとは、たまに挟まる無機質な映像が心を揺さぶってくる。缶についた泥がシンクに流れていく絵。遺灰が湖に沈んでいく絵など。それだけで奥さんが喜んでいるかのような顔が浮かぶから不思議。

明らかなターニングポイントがないため、わかりずらいという指摘も散見されるが、個人的には、まあこのいつの間にかのグラデーション的な感じが返ってリアルなのかもしれないと思った。めんどくさくなって何も言えなくなるのもそう。突き放してしまうのもそう。

観た後はとても晴れやかな気持ちになった。素直でありたいと思ったし、人を大切にしたいと思った。 
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