コットンテールのヤスのネタバレレビュー・内容・結末

映画としては大きな盛り上がりも無く淡々と静かに、台詞も少なく進んでいきますが、役者さんたちの不器用で静かな言葉、素晴らしい演技、表情からいろいろな感情が伝わってきます。 盛り上がりや大きな出来事もない感じだと書きましたが、兼三郎からしたら最愛の妻(劇中のエピソードからも、不器用ながらもものすごく奥様を愛して、大切にしてきた事が伝わってかます)が病気になり、亡くなったという、とんでもなく大きな出来事があったあとなんで、淡々と進む物語が彼の心の中の、喪失感を、表しているかのようでした。 美しい英国の風景もどこか物悲しげで。 息子とも不器用故に上手く関われない、でも少しずつ奥様にしか見せなかった心の中愛情を息子家族に向け心を開いていくところに胸を打たれました。 奥様の介護をしているところに息子家族がやってくるシーンも不器用に息子に接しますが愛する奥様の変わってしまった姿を見せたくなかった奥様への大きな愛情だったんだろうと。 奥様に向けた愛情を息子や周りの人々にも向けられれば良いのに、でも散骨を終えこれから少しずつ息子家族にその不器用な愛情がこれから開かれていくのかなと思える良いラストシーンでした。 ぶっきらぼうで自分勝手な父親に、愛想を尽かしても良さそうですが、こんな手のかかる父親に寄り添おうとする息子。 その優しい息子を育てたのは、愛溢れる素敵な夫婦、家庭があったからなんですよね。 長く書いてしまいましたが、観終えていろいろと考え、想いを巡らせられる良い映画でした。