七沖

ゆるキャン△の七沖のネタバレレビュー・内容・結末

ゆるキャン△(2022年製作の映画)
3.8

このレビューはネタバレを含みます

〝キャンプ場、作るズラ!〟
TVアニメから数年後。社会人になった野クルのメンバーたちは、さびれつつある山梨のある場所にキャンプ場を作ることになり…というストーリー。

あまりアニメのテレビシリーズの劇場版は観ないのだが、この映画は良かった。
松竹のロゴから始まり、そのまま富士山キャンプのシーンに自然に移り変わっていくのが好き笑

社会人になって彼女たちがどんな仕事に就いているのかが興味深く、各キャラの登場シーンはワクワクした。
就いている仕事に「ああ、確かに適職かも」という納得感がある。
やっぱりリンだけが、他のメンバーよりもちょっとだけ遠い場所で生活しているのが彼女らしい。

社会人ならではのお金に余裕のある行動や心のゆとりを感じられるセリフがあって、時の流れをちゃんと感じられる。
イヌ子の「うそやでー?」に胸が締めつけられる日が来ようとは。

キャンプ場のシーンはみんな高校生に戻ったかのように活き活きとしているが、今回はみな社会人ということで各々仕事がある。
そんな中でも、最も職場での様子が描かれたのがリンが勤める出版社だろう。
もっと自分が若かったらリン目線で観たはずだが、今の自分はリンの上司のアフロに一番共感した。
部下の成長を促しつつ、そっとサポートするいい先輩だ…。こんな人になりたい。アフロにするのは嫌だが。

ちょっとキャンプ場作りのシーンが長くて退屈した場面もあったが、キャンプ中のシーンは相変わらず楽しそうで美味しそうだ。
TVアニメではあまりなかった大きなトラブルが起きるが、誰もお互いを責めないのがゆるキャン△らしい。
観ている最中は、このままキャンプ場建設は中止して、それに折り合いをつけるという痛みを乗り越えるドラマになるのかとすら思った。
ちょっとビターな感じが大人編でやるにふさわしい内容にも思えたが、ここはやっぱり、ちゃんとキャンプ場を完成させる流れになって安心した笑。

普通、社会人になったらなかなか会えるものではない。
でもあの5人はこれから、自分たちが心血を注いで作ったキャンプ場で、これからの人生の節目ごとに集まるんだろうな…という未来が想像できる。
仕事も住む場所も違えど、「年越しはあの場所に集合!」と呼び掛ければみんなが再会できる場所があるというのは、社会人だからこそ分かる人生の宝物だ。
七沖

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