とむ

シン・仮面ライダーのとむのネタバレレビュー・内容・結末

シン・仮面ライダー(2023年製作の映画)
3.0

このレビューはネタバレを含みます

冒頭からクライマックスという言葉がここまでハマる作品もそうないだろうってくらいの爆音スタート。
開始数分で遠慮皆無のゴア的表現が怒涛の様に押し寄せるので、ほぉ〜こういうスタンスかと惹かれはしたのですが…

結果的に言うと
最初からクライマックスじゃなく、
最初「が」クライマックスが正しかったな。


シン・ゴジラのスタッフ挨拶の際に庵野氏が「今作(シン・ゴジラ)は珍しく東宝がいくらでもお金を使って良いとのことなので…」という軽口を発していましたが、
実際それくらい予算がかけられたんだなぁというのを実感せざるを得ませんでした。

それくらい今作、予算ない中で"頑張って"作ったんだろうなぁっていうのが透けて見えちゃうんですよ。
画作りが面白くないし、貧乏くさい。

編集の時にいっぱい画欲しいのはわかるけど、iPhoneでマルチカムで撮るのいい加減やめた方が良いと思う。
1カット1カットに心がこもってないよ。
実相寺アングルとも呼べない、粗雑なカットばかり。


合成丸出しの安っぽい背景を割と臆面もなく出していて、特にハチオーグの基地?の屋上シーンは正直かなり観ててしんどかった。
シン・ウルトラマンのCGが拙いカットに対して「特撮表現のリスペクトだ」っていう人結構居たけど、ぐんぐんカットと直立ぐるぐるカット以外は単純に予算不足でハイクオリティな出力が難しかっただけだと思いますけどね…
今作はずっとそんな感じなので、かなり映像がショボかったです。

予算がないなら無いなりで、新たなチャレンジもできたはずなのに。
それこそ「エブエブ」のVFXカットだって、もちろん今作よりはお金はかかってるだろうけど、新しい映像表現としてはかなりの低予算で作り込んではいたはずなんだし。
「恩返しをする」ってそう言うことじゃない気がするんだよなぁ。

唯一、ハチオーグが本気出した時の、ちょっとカクついた残像を残しながら移動していく描写は新しくて良かったかも。
AKIRAのテールランプが残る演出みたいで個人的には好きでした。


あとは単純に脚本が良くなかったな〜
サソリオーグとか、ハチオーグとかのキャラ造形やお芝居が本当にダメ。ダメな時の庵野。
予告しか観てないから全体を語ることは出来ないけど、芝居だけでなくCG含めキューティハニーの時の感じに近いかも。

シン・ゴジラの様に早口で捲し立てる様な芝居で俳優の下手さを誤魔化す演出に頼ることができればどうにかなったかもしれないけど、
いかんせん今回は「大いなる力には大いなる責任が伴う」「戦わずして済むのであれば戦いたくない」という男の葛藤を描かねばならず、どうしてもメイン俳優の演技頼りにはなってしまうから仕方ないんだけどね…

キャラクターに対しての思い入れがあんまりないから、ある主要キャラが命を落としても「あらまー」程度で気持ちが動かないんだよね…
この程度のテーマ性ならニチアサで良かったんでない?
ニチアサを腐す意図はないですが…

それこそ、仮面ライダークウガとかの方がよっぽど大人が見るに足る、何なら大人こそ「おぉ」ってなる仮面ライダーだよね。


「死んだ人間は融解する」って設定のおかげで、後半でとある人物が命を落とした際の絶望感を演出する点においては一役買ってるなとは思いました。
表現は御多分に洩れず残念でしたが…

あと浜辺美波はあのキャラにも関わらず良くやってたと思う!
癇癪起こすシーンとかちゃんと可愛かったし

2号のどんな状況でも冗談めいた口調の、ちょっとノリの軽いキャラ付けも良かった。
庵野さんのあまり感情を込めずに芝居してもらう演技付けが、何なら一番上手く行ってたキャラ造形じゃないかな。


褒める点がないわけでは勿論ないけど、期待してただけに中々に残念な作品だったなぁ…というのが正直な感想。
つまらない!って言いきれちゃうほどダメダメな作品でも無い。
別の人で今年見た映画で一番ゴミ!とかデビルマン級!ってレビューがあったけど流石にそこまでじゃない。
その人多分デビルマン観てないでしょ笑

だけど、面白かったか?と言われるとうーーーん…と首を傾げてしまう。
それって一番何も残らない類の作品やん…

それでも普通くらいの点数なのは、やっぱ庵野に期待しちゃうからなのよね…
そうか、これが「エヴァの呪縛」か…


てか松坂桃李、どこ…?笑
とむ

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