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シン・仮面ライダーのポチのレビュー・感想・評価

シン・仮面ライダー(2023年製作の映画)
4.0
キャスト:5
演出:4
アクション:3
シナリオ:4
美術:4
音楽:5
編集:4
総合評価:4

仮面ライダーは子供の頃に観ていたくらいで、大人になってから、
いわゆる平成ライダーを通って来ていないので仮面ライダーファンではない。

今回鑑賞したのは、庵野監督が理由なのが主。
過去のシン・ゴジラ、シンエヴァ、シンウルトラマンを一応劇場で観てきてます。


本題の感想
平たく言えば今回も庵野作品。
シンウルトラマンに近い完成度と言えば一言で伝わるかもしれない。

歴史のあるシリーズものをファンのみたい良いとこ取りをした総集編に、オリジナルのバイアスをかけている。
それを如何に評価できるかという所。

冒頭、いきなりの見せ場。
観たいものを出し惜しみせずに、いきなり見せるのはシンウルトラマンと同じ。
スペシウム光線ばりにライダーキックを見せてくれる。

いつもの長ゼリフに細かい設定の説明を挟むのは庵野作品の定番。

コミカルさとシリアスさを保ちつつ、主人公ライダーの葛藤を描く。

ウルトラマンとは違い仮面ライダーは、より人間味のある話なので、哀しみを背負っている分、訴えかけるものは大きい。

基本的に人類を滅亡させようという、いわゆる人類を1度終わらせるという流れは庵野あるあるで、シン・ゴジラみたいな恐怖との戦いというよりは、
亡き人の想いを繋ぐ戦い。

緑川博士の娘を守りたい想いを仮面ライダーが継ぎ、兄を救いたいルリ子の想いを繋ぎ、ラスボスとなる蝶ライダーと戦う。
自分の役割を全うし2号へとバトンタッチするのも訴えかけるものがある。

物語は原作リスペクトしているらしく、
原作未読の私でも高ぶる部分であった。

アクションに関しては、良いところと残念な部分があり、評価は難しい。
血が噴射しているシーンは残酷ではあったが、ある種のリアルさもあり、慣れてくるとギャグシーンとも取れる。
バイクシーンやジャンプなど大興奮する演出も押さえていて観たいものが詰まっている。
しかし、ショッカーライダーが沢山いたトンネルのシーンが暗くて残念。
初めて2号と共闘する見せ場がゴチャゴチャしていて勿体ない。

カメラワークが少し酔いそうな画角なのと、ラスボスとのグダグダな戦闘は狙いなんだろうけど物足りなかったかな。

しかし、概ね
オールドファン、新規ファンでも楽しめる、懐かしさとおかしさ、見せ場の盛り上げ方など、今までのシンシリーズで得てきたものを余すことなく出してるのは、ある種のシンシリーズ集大成とも言える。

ライダーバイクの完成度や演出のこだわり、敵となる昆虫のコスチュームの作り込み、破壊されたり変形したり楽しませてくれます。
ちょっとチープさを感じるのも昭和感があって、ある種のあるあるなんだと思います。

大絶賛したいのはキャスト
公開前のキャスト発表だと少なかったが
作品を見ると隠したくなるムフフなキャストが目白押し。
通りで隠してたのかの意図がわかる憎い演出。
長澤まさみさんが出てきた時には劇場内も盛り上がりを見せました。
もちろんあの二人が出てきた時も。

訴えかけるものも多く、原作愛も感じるし、今までのシンシリーズの糧を活かしてるのもあり、
仮面ライダーのシリアスさ哀しみも愛も含んだ、庵野監督らしいリバイバル作品でした。

庵野作品としての真新しさはないかもしれないけど、
ある意味、培ってきたシンシリーズの集大成、庵野作品の集大成という一区切りとなる作品と感じました。

本郷猛の覚悟、ルリ子の想いは兄や、仮面ライダー2号、これからの庵野作品にも繋がっていくと思います。

次のシンが何になるのか今から期待してます。
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