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シン・仮面ライダーのapapattiのネタバレレビュー・内容・結末

シン・仮面ライダー(2023年製作の映画)
3.5

このレビューはネタバレを含みます

・映倫+12からいきなり血しぶきでずっこけた。いや、最近の小6ならこれくらいは全然許容範囲ってことなのか。関係者は泡になって消えるけど、洗脳されてる戦闘員は徒手空拳で頭蓋勝ち割られたり踏み抜かれたりしてるけどこれはいいのか…?

・全体的に大変仮面ライダーが弱い。ウルトラマンやゴジラと比較して、人間というものがフィーチャーされているのだと思う。超科学・超人間的なもの、ではなく、あくまで人間が思い描ける個々のエゴの延長での話の展開になることからか、個の力の矮小さというか、限界というか、そういうものを描こうとしているように思う。

・個人的にはウルトラマンやゴジラのときのような、大変な理不尽さに対して、どう戦うか、力を持つものはどう責任を取るべきなのか、世界を滅ぼす、というスケールの巨悪に対してどう解決策を提示するか、というテーマのほうが、スカっとする感じはある。双方とも、「世界中が団結する」という瞬間があり、人間は捨てたものじゃない、という力強さがあるからだ。

・仮面ライダーは個人個人は大して強くない。怪人も対人で撃破されていた。いや、できるんかい、とは思ったけど。サソリオーグもハチオーグもそうね。仮面ライダーもほとんど勝ってないんじゃない?という印象すらある。これはたぶん意図的だとは思う。1号もなんかずっと震えてたし。それが人のやさしさという要素だからだと思うけど。

・強いテーマとしては感じるのは「継承」である。弱い生き物であっても、思いは残るし、つながるし、それが強さになる、的なテーマではあると思う。父の思いは1号に託され、娘の思いも1号へ遺され、1号の思いは2号へ引き継がれた。そのプロセスにこそ、連綿たる人間の紡いできた歴史という強さがあるのだといわれれば、そういうことなんだとおもう。

・ショッカーの生い立ちは、最大多数の最大幸福ではなく、不幸な人間の幸せを願って人工知能が生んだのだといわれてしまえば、生来それを否定するいわれもないので、強い対立軸になりえないのだと思う。ハビタット世界へ人類をいざなう、というのも良かれと思ってやっていることだし、この世の地獄というのも娘の主観に過ぎないといえば過ぎない。どういうものかは描かれてなかったけど。ハチオーグの奴隷の主従の幸福、というのも一種そういうものではあると思う。ただ、人の自由意思を奪うという点において、その権利はないという軸一本でしかない。殺す快楽、もまあそうか。

・そういう意味では、他人の権利を侵害することだけが悪、というのが今の時代からみてもぴったりくるのかもしれない。し、それはもともと仮面ライダーだろうがバットマンだろうが、デビルマンだろうが、そういうテーマだったのではなかろうか。

・世界征服というのは、他人の自由を奪うことである、だから悪い。は成り立つのか。というのはまあ令和になる前から言われてきたことではあろうか。水戸黄門とかもそう?そしたら勧善懲悪の物語というのは、今でも成り立つのかな。そういう一方的なエゴってOK?

・こうなってくると超常現象のほうがスカッと見れるのかな、と自分の中でもだいぶ折り合いがついてきた。仮面ライダーとその登場キャラクターの行きつく先は現在の人間の延長にある。生体エネルギーを別空間に転送する、というのはまだできないにせよ、脳の機能をデジタル化しようというのは今も試みられていることだろう。AI美空ひばりなんかはその中にあるはず。魂とは何か?という哲学的な問題は置いておいて、観測される世界の中にデジタルの個人を再現することはできるはずなので。

・結構テンポを重視するがゆえにか、特撮的な見せ場を重視するゆえにか、筋の通っていない展開が複数あって、ちょこちょこ気になってしまった。なんでハチオーグはお互い仮面無しで最初やりあったのかよくわからないし、チョウオーグの玉座もセキュリティがばがばすぎだし、コウモリオーグもさすがに操られてないこと位わかるだろう。とか。見せ方としてはわかるけど。

・はまべみなみはかわいかったです。
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