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シン・仮面ライダーのTKのネタバレレビュー・内容・結末

シン・仮面ライダー(2023年製作の映画)
2.0

このレビューはネタバレを含みます

期待してたのとちょっと違ったので素直に楽しめなかった反面、良いシーンと良い構図があって映像としては楽しめた。
初手のインパクト絶大なグロテスクシーンは最悪で不快感が強く、二度と観たくないと感じた。
泡になって死ぬ様は素晴らしい。
話としては面白いはずなのに、やれ「プラーナ」だの「オーグ」だの専門用語を難しく使う事に固執しすぎてて一見で理解しにくいに楽しめなくて面白くもない。
そういえば前日譚の漫画シリーズがあったな……という情報だけがあり、妙に過去のいざこざがある素振りばかり見せて深く掘り下げないショッカーの蝶オーグとルリ子と緑川博士の物語など、必要なモノばっかり端折って不要なモノばかり見せている不完全な映画。
「私は用意周到なの」等口癖のようなセリフが、もう良いよ!と言いたくなるほどしつこく使われる部分にも、SNSの宣伝方法と相まって「面白い映画を作る」よりも「商業的に成功して金儲けがガッポリ出来てSNSでウケまくってオタクにも一般人にもウケるシン・ゴジラとシン・ウルトラマンの後釜を狙っちゃいます」という欲望が透けて見えるのが不快だった。
前日譚コミックがどれだけ本編に関与しているかは知らないが、発売前からの過剰なグッズ展開に横軸展開は冷めるだけだから本当にやめた方が良いと改めて感じた。
仮面ライダーファンが楽しめるアクションシーン、特撮シーンには力が入ってて視覚的には面白いがそれだけ。
洗脳を解かれた後の一文字や、ルリ子の遺言のシーンなど、素晴らしいシーンもたくさんあるが、多面的に観て良かったシーンは数える程しかない。
バイクの排気だけで空を飛べるシーンや、サイクロン号を武器として使うシーンなど、原典にあった描写を拡大解釈して無理なく面白く魅せる演出は良かった。
シン・ウルトラマンの飛行形態からの回転を攻撃に転用するのと同じ面白さがあった。
ラストシーンの台詞がほとんどコミック版の13人の仮面ライダーのラストシーンと同じ台詞になっており、ここに一番感動してしまったが、こんな原典ファン向けのサービスシーンが一番素晴らしかったという感想になるのがとても悲しい。
そのシーンも前述のよくわからない専門用語に一部の台詞が書き換えられており、ずっとよく分からないままTV版の主題歌集を流されても何もブチ上がらないし微妙な気持ちになってしまった。
シン・ゴジラ、シン・ウルトラマンのような庵野秀明の関与する「シン」の名が与えられた、新解釈の名作特撮シリーズ映画というよりも、2023年版のTHEFIRST、THENEXTといった感じで、過去関連作品との比較でしか評価の出来ない、総じて勿体無い映画だった。

【追記】
何故一番肝心な13人の仮面ライダーを真っ暗な戦闘シーンにしたんですか。本当に不愉快だった。
TK

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