エイデン

シン・仮面ライダーのエイデンのネタバレレビュー・内容・結末

シン・仮面ライダー(2023年製作の映画)
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このレビューはネタバレを含みます

謎の組織に囚われ改造手術を受けた青年 本郷猛は、突如現れた謎の少女 緑川ルリ子によって救い出される
組織の戦闘員に襲われたルリ子だったが、本郷は驚異的な能力で彼らを瞬く間に殲滅
その後、ルリ子に連れられセーフハウスに避難した本郷は、自らが異形の姿へ変身していたことや、人を殺してしまっても何も感じていない自分に気が付き衝撃を受ける
そこに現れたのは本郷の大学の恩師である緑川博士だった
緑川博士は組織の一員として、ある事件により絶望し力を欲していた本郷を被検体としてとして選び、改造手術を施した張本人だと明かす
本郷は緑川博士により“プラーナ”を移植され、バッタの遺伝子を組み込まれた昆虫合成型“オーグメンテーションプロジェクト”の最高傑作“バッタオーグ”としてアップグレードされていたのだ
娘のルリ子と共に組織へ反旗を翻した緑川博士は本郷に、バッタオーグとしての力と改造バイク“サイクロン号”を使い、組織と戦い人のために使ってほしいと嘆願する
困惑する本郷だったが、そこへ組織に裏切り者の始末を命じられた“クモオーグ”が急襲
体内のプラーナを排出し人間体に戻っていた本郷は糸によって身動きを封じられ、目の前で緑川博士を殺害されてしまう
自らも爆弾で危機に陥った本郷は、間一髪で再度変身し難を逃れ、ルリ子をさらったクモオーグを追跡
ルリ子のことを頼むという緑川博士の最期の言葉を胸に刻んだ本郷は、自らを“仮面ライダー”と名乗り、激戦の末にクモオーグを撃破する
またも人を殺めたことに心を痛める本郷を優しすぎると断ずるルリ子だったが、2人は組織の追手から逃れるため第2のセーフハウスへと移動
するとそこには、政府から派遣された男と、情報機関に所属している男が待ち構えていた
2人も一連の事件を起こした組織“SHOCKER(ショッカー)”の壊滅のために動いており、警護と情報提供を引き換えにルリ子と本郷に協力を要請しに来たのだ
人のために力を使うことを決意した本郷は、仮面ライダーとして世界の幸せのためと歪んだ計画を進めるSHOCKERに戦いを挑むが・・・



庵野秀明が手掛けるテレビシリーズおよび石ノ森章太郎の漫画『仮面ライダー』のリメイク作

『シン・ゴジラ』、『シン・ウルトラマン』と同様に、往年の人気キャラクターの物語の大胆なアレンジが魅力でありファンからあれやこれや言われてるポイント
ストーリーとしては初代作である仮面ライダー1号こと本郷猛と、悪の組織ショッカーの因縁と戦いが描かれる

題材となった初代『仮面ライダー』自体50年前の作品ともあって、現代風に大きく設定を改変しているのも特徴
そのため仮面ライダーや怪人の設定にもSFらしい解釈が加えられていてスタイリッシュになっている

また同時に『シン』シリーズに共通する庵野秀明の解釈も健在
50年前の『仮面ライダー』で藤岡弘、が演じた本郷猛は、正義に燃える熱血漢だったのに対し、本作では心優しいながらもコミュ障な青年になってるし、
世界征服を企む悪の秘密結社としてテンプレ的に描かれていたショッカーも、高度な科学技術を用いて手段を選ばず人類の幸福を追求しようとする歪んだ友愛団体になっている
本郷やルリ子、そして最後に立ちはだかる敵に至るまで、皆が過去の出来事で心の傷を負っており、傷を乗り越えるために孤立して独善的な行動を取るショッカー陣営と、互いに背中を預けて助け合い戦いに挑む主人公陣営という対比になっているのも、持ってしまった力をどう振るうのかというヒーローものの王道の形ではあるけど落とし込み方が良い

一方でアクションシーンに関してはやや期待はずれかな
オリジナルを意識したようなカットとかリスペクトは感じるものの、VFXによる迫力の出し方はシーンによってはチープに見えるし、細かなカット割でスピード感を出すのも純粋に観にくい
ただキック力やジャンプ力など、仮面ライダーの設定上のスペックがそのまま映像化されてるのは感動した

ただ展開によって戦う理由もフワッとしていた本郷の成長と仮面ライダーとしての使命に目覚めていく様子はカッコよかったし、正義と悪の終わり無き戦いに対して、潰えることの無い正義の継承というテーマを素直に描いているのは良かった
仮面ライダーらしさと新しい設定の同居に関しては庵野秀明がオタクなだけあって上手く釣り合いの取れた作品になってると思ってる
勧善懲悪なヒーローものとしての仮面ライダー作品で無いのは確かなので、癖は強いけど
そういうのが観たい人は『仮面ライダー THE FIRST』シリーズあたりのが近いかもしれない
本作は本作で新しい仮面ライダー像にはなってると思うので観ましょう
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